1-1 モータとは何か

モータをmotorと表記すると、動かす装置つまり「原動機」のことですが、電動機と表記すると、「電気を使った原動機」の意味になります。英語ではelectric motorです。

図1.1モータの入力と出力
モータは電気エネルギーを機械エネルギーへ変換する装置である

電動機は学術的には、電力を動力に変換する装置、あるいは電気的エネルギーを機械的エネルギーに変換する装置のことです。図1.1のエネルギー・フロー図では、左側が電気的入力、右側が機械的出力をそれぞれ表します。電気的入力を単に入力、機械的出力(動力)を出力と省略することもあります。

エネルギー変換のプロセスでは、入力の一部は動力とならずに、熱になってしまいます。

それを損失(loss)と呼びます。日本では、発電される電力の60%以上がモータで使われています。

地球環境保全のためには、損失の少ないモータの設計とその利用法が重要な課題です。

上で述べた入力電力、出力(動力ともいう)および損失との間には、次のような関係があります。

入力電力 = 機械出力 + 損失

これらの量を表す単位は、ワット[W]です。

また、入力電力と機械出力の定義は、以下の式で表されます。

入力電力[W]=電圧[V]×電流[A]

機械出力[W]=回転速度[rad/s]×回転力[Nm]
(radはラジアン、Nmはニュートン・メートルと呼びます)

モータの効率(efficiency)とは、入力電力に対する機械出力の比を百分率 (percentage)[%]で表したものです。

モータ効率=出力/入力×100

損失の中には摩擦のように機械的な原因によるものもありますが、大きな割合を占めるのは銅線内の損失と鉄心内の損失です。前者を銅損(copper loss)、後者を鉄損(iron loss)と呼びます(上述の図1.1参照)。

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