開発ストーリー

シーリングファンの開発と展望

シーリングファンの部品、ユニット、完成品ODM提供体制を構築中。
インド市場発、世界展開を推進。

インドでは家庭内冷房の主役はシーリングファン。300〜400回転で扇風機のように使われている。ブラシレスDCモータは電圧変動が生じても安定回転できる点が評価されている。

インドの家庭において、天井に取り付けるシーリングファンが冷房器具として大きな役割を果たしており、巨大市場を形成しています。日本電産ではインドのシーリングファン市場への参入にあたって、ブラシレスDCモータをコアとしながら、コントローラ・ブレード・リモコンなどを含めた部品~ユニット~完成品(ODM提供)まで、お客さまの要望に応じて提供できる体制を整えています。コアとなるブラシレスDCモータは既存のACモータに対して小型・軽量・低消費電力・制御性の良さという特長がありますが、インド市場においては不安定な電力事情によって電圧変動が生じた際にも安定した回転を維持できるという点で高い評価を得ています。

インドの公称電圧は230Vですが、実際には140Vから280V程度の範囲で大きく変動します。日本市場におけるシーリングファンはサーキュレータとして使用されており、百数十回転と回転速度が低く、また電力供給が安定しているため、動作中に回転速度が大きく変わることはありません。一方、インド市場では回転直径1.2mほどのブレードを300~400回転程度で回し、直接風を浴びて涼しさを得る扇風機のような使い方をされているため、電圧降下による回転速度の低下は大きな問題となっています。日本電産は高信頼性の制御回路と出力制御技術によってこれらの電圧変動に対応しました。

トルクや効率を維持しつつも、コアをより小さく・薄くしてコストダウンを実現。

ACモータに対してメリットが多いブラシレスDCモータですが、一方で強いコスト低減要求があります。製品化にあたって、磁場解析による磁気回路の最適化を行い、コアを小さく・薄くしつつも、形状を工夫することでトルクや効率を維持するというコストダウンを行いました。
また、モータケースにマグネットバックヨークの機能を統合し、モータの基本構造自体を工夫することでコストを抑え、同時に外観意匠面での自由度を広げることが可能となりました。

新デザインのブレードは少ない回転数でより多くの風量を生み出すことができるよう、流体解析技術を駆使して形状を決定。

高効率モータの特性を最大限活かすためにはブレードの開発も重要なポイントです。 インド向けシーリングファン開発においては、高速回転で高風量が得られるブレードや低速回転でも十分な風量を得られる幅広のブレードなど、いずれの市場要求にも応えられるよう、スーパーコンピュータを用いた流体解析を行って最適な形状のブレードをそれぞれ開発しました。
また、風切音の低減要求にも応えられるよう、騒音分析や音源探査を駆使しながら翼端形状を工夫することで、風量の確保と同時に静音性にも配慮しています。
今後も、コンピュータシミュレーションの活用と実測データの蓄積によってお客さまの様々な要求に応えられるソリューションを提供し、高付加価値の製品を世界中に広めていきます。

開発者からのコメント

限られたモータ軸動力からいかに大きな風量を得るかという点が大変でした。 インドにおけるシーリングファンの風量は、規格化されている環境条件および測定方法に則り、得られた各ポイントにおける風速から換算することになっています。
モータの軸動力は限られているため、どのポイントの風速を向上させるかという点が重要となります。 大きな風量を得るために、当社がこれまで培ってきたファンモータの流体解析技術を活用し、ブレード形状をパラメータ化して数百通りの解析を行いました。同時に、蓄積した実測データも活用することで、ブレードの形状や回転速度に対する風の向き・広がりを推定することができるようになり、お客さまの要求する回転速度域にマッチした最適なブレードを提案することができました。
今後は、日本電産の技術力を活かして製品性能の更なるブラッシュアップを図り、ブラシレスDCモータ搭載シーリングファンのデファクトスタンダードとなるよう世界展開を進めると同時に、省エネ社会の実現に貢献していきます。