開発ストーリー

レジンパックモータ

音の静かな家電製品の実現に大きく寄与したレジンパックモータを
世界で初めて実用化

日本電産テクノモータがレジンパックモータを世界で初めて実用化したのは1975年のこと。従来、モータのハウジングには鋼板を使用していましたが、洗濯機やエアコン用としてさらに静かなモータが必要という要求に応えるための実用化に向けたチャレンジでした。鋼板製のハウジングを樹脂に置き換え、樹脂が持つダンピング性能を100%活かす構造ですが、量産化には数々の課題が立ちはだかりました。成形にあたって、ハウジングに相当する肉厚の部分だけでなく、従来ワニスを含浸させていた巻線の隙間にも一様にレジンを充塡しなければなりません。また、樹脂の圧力によってパーツの位置が変わってしまうと、所定の性能が発揮できないという問題も生じます。

モータのハウジングそのものを樹脂に置き換えるという大胆な発想。困難を極めた実用化に世界で初めて成功。

当時は、現在のような金型内部の流動解析技術も十分ではなく、部分的に射出成形を行うショートショットをくり返し、樹脂の充塡度を観察するという方法で金型内部の樹脂のふるまいを解析し、金型の形状や湯口の位置・温度制御・射出の圧力・樹脂成分の最適化をはかっていきました。1975年にはACモータのレジンパック化を達成し、1982年にはブラシレスDCモータのレジンパック化にも成功。インバータ回路をレジンハウジング内に内蔵することにも成功しています。

Nidec FDB

磁気回路だけでなく、インバータ回路もレジン内に取り込み一体化。使用する樹脂は空気を上回る熱伝導度を持つため、放熱性が改善されて従来のものより小型化が可能となりました。 近年では、駆動用の専用パワーIC、アルミ巻線に最適化した磁気回路設計、アルミ巻線を効率良く行う専用巻線機などの開発にもチャレンジ。コスト競争力も身につけて海外市場への展開を行っています。

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小型モータからはじまったレジンパックシリーズ。
順次大型モデルを開発し、現在では10Wから1KWまでのモデルが揃う。

独自に開発した専用巻線機によるアルミ巻線、希土類素材を使用せずにフェライト磁石で同レベルの性能を出す磁気回路、素材である電磁鋼板を無駄なく使用できることに加えて組立コストダウンも実現するストレートコア。この3つのアドバンテージが海外でも注目を集めています。同時に、欧州で家電製品に対する消費電力の規制がはじまるなど、ブラシレスDCモータを得意とする日本電産テクノモータとしては非常に良い外部環境になりつつあります。小型モータからはじまったレジンパックモータですが、順次大型モデルを開発し、現在では10Wから1KWまでのモデルをラインナップしています。今後は、エアコン・洗濯機だけでなく、給湯器や空気清浄機などのさまざまなアプリケーション向け製品も取り揃え、欧州をはじめ、北米・南米でもレジンパックモータの拡販を本格化させていく計画です。

開発者からのコメント

最近、洗濯機用にブラシレスDCモータを投入すると言う開発案件が進められています。ブラシレスDCモータは制御性が良く、洗濯槽内の水流の乱れによる音を抑えた運転シークエンスが可能となり、モータ本体の静音化と相まって非常に静かな洗濯機を実現できることが分かりました。家電の世界は静音、そして省エネという流れにありますが、ブラシレスDCモータ・レジンパックというアセットを持つ弊社の優位性は大きなものがあると思います。近年、海外のコンペティターの追随もありますが、レジンパックモータのパイオニアとしてこれまで蓄積してきた技術とノウハウを活かして、今後も優れた製品を開発していきたいと考えています。