開発ストーリー

限界サイズを追求した
超薄型・超小型UltraFlo FDB

厚さ3mm以下、20mm角のファンモータ。
設計・解析・製造技術のすべてを尽くして限界サイズに挑む。

Nidec FDB
最近では、ノートブックの薄型化にともない、4mm厚や3.5mm厚のファンモータも登場。薄型だけにメカ・流体ともに設計難易度があがるため、流体解析技術を駆使してベストな構造を決定する。

ノートブックの世界では薄型化の流れが継続し、ディスプレイの高精細化や動画再生能力の向上も相まって、CPUの高クロック化も進んでいます。ノートブック向けファンモータに対する要求は厳しく、高温で駆動するCPUを冷却する十分な風量を確保しつつも薄型化の要求は絶えないという状況にあります。現在3.5mmから4mm厚のモデルが薄型ノートブック向けファンモータの主流となっていますが、さらなる薄型化のニーズも現れており、日本電産では3mmを切るファンモータ開発に取り組みました。技術的にはさらに薄くすることも可能でしたが、ノートブック内に与えられた空間寸法から流体解析を行い、吸い込み口の前室にあたる空間とファン本体の最適な体積比を算出した結果が3mmを切る寸法でした。

薄型化を実現しつつも高クロックで駆動するCPU冷却に必要な風量を確保するため、10mm厚程度のファンモータでは13枚で十分だった翼の枚数を増やす必要があります。同時に、ノートブックでは低騒音化も大きなテーマのひとつです。一般にファンの回転騒音の主成分は翼枚数×回転数を基本周波数とする倍音成分であるためピークを形成しやすく、そのピークを分散させる目的で翼枚数を設定しましたが、さらに不等配翼にしてその効果を高めました。騒音と風量のベストポイントを短時間で探索するために独自で構築した連成解析技術を駆使し、吸い込み口~ファン~流路~冷却対象であるCPUまでの風の流れ・騒音を統合して解析し、ベストな構造配置を決定しています。

Nidec FDB
薄い翼で風量を確保するための翼枚数を設定し、ピーク騒音を抑えるために不等配翼を採用。独自で構築した連成解析技術を駆使し、短時間で風量と騒音のベストポイントを探り出すことが可能に。

翼を成形する金型の設計・製造も社内で行い、射出成形技術も社内で保有しているため、成形の難しい超小型樹脂製ファンを設計通りの形状で量産する能力を有しているのも日本電産の強みのひとつです。また、薄型化に従ってファンの設計・製造の難易度が上がりますが、モータも同様です。とくに磁気回路、なかでもコアのデザインと巻線の部分は薄型になればなるほどクリティカルになっていきます。巻線の線径は0.1mm以下。ラフな巻き方をするとターン数を稼げずにトルクも確保できないため、巻線機の制御も非常に精密に行う必要があります。巻線機をグループ内で開発する技術を保有しており、巻線に合わせたモデルを新規開発、あるいは既存モデルをモディファイして要求仕様に合わせ込むといった作業も短期間で可能となっています。

開発者からのコメント

現在では、更なる薄型・小型ファンモータの開発についてもチャレンジしています。ノートブックパソコンも一部のモデルでは動画編集など非常にヘビーな用途に使われることが多くなり、そうしたハイエンドモデルでは高クロックCPUを搭載しています。もちろん最近のモデルは薄型であることが必須。非常に厳しい条件の中で薄くて風量の出るファンモータが求められています。日本電産にはHDDモータで確立した流体動圧軸受という世界一のアセットがあり、さらに連成解析など先進技術も確立してます。今後もこうした技術を活用し、ファンモータの世界でもナンバー1を目指したいと考えています。