日本電産の2代目社長としての覚悟と展望。 日本電産の2代目社長としての覚悟と展望。

“イバラの道”にこそ大きなやり甲斐がある

─永守会長から次期社長を打診されたとき「ハイ、わかりました」と
即答して逆に驚かれた、とのことですが、
ある程度予想はしていたのでしょうか?

うーん、全く予期してなかったというと嘘になります。でも、仮にあったとしても、もっと先だろうと思っていました。まあなんとなく怪しい雰囲気もありましたが。「海外出張ばかりでしんどい」と情に訴えられたりね。こういう人間的な力はもう、すごいです。「体力的にきつい、助けてくれないか」なんて言われると「わかりました」と言うしかない。そういう過程を踏まえてであって、いきなり「やってくれるか?」「はい!」みたいな話じゃないです。ただ「次を頼む」とはっきり言われたときは、驚きはあったけど、あれこれ言わず「わかりました」とすぐ答えたのは事実です。
日本電産社長という重責を担うにあたっては、不安もプレッシャーも当然あります。が、それ以上に「よし、やってやろう!」という意欲が勝っています。これは昔からずっとそうです。今までも、ある程度パフォーマンスを出せば楽に進んでいける道と、全く未経験でリスクも高そうなイバラの道の二つの選択肢が用意されていれば、いつもなぜかイバラの道を選んできました。自分でも不思議なんですが、そっちの方が意欲が湧くし、それで上手くいけばその方がよほど楽しい。そもそも安定的な人生を送ろうなんて思っていないんでしょうね。

海外グループ企業のPMIに注力していく

─日本電産という企業グループをどのように捉えていますか?

日本電産に対して「日本的な会社」というイメージを抱いている人も多いかも知れませんが、私はいわゆる日本企業とはほど遠い、世界企業、グローバル企業だと思っています。永守会長が言っていることは、世界で通用する、とても普遍的なことです。GEの「GEバリュー」とか、リッツカールトンの「クレド」とか、そういった普遍的に人を動かせる、グローバル・スタンダードの経営理念を持っている会社です。それに加えて、中小企業の俊敏さ、スピードがある会社。物事の進め方が、一般の大企業の3倍は早いです。1兆数千億円規模の、非常にスピード感のあるグローバル企業。それが日本電産の強みです。

─新社長として、そこにどのようなカラーを加えていきますか?

日本電産のこの強みは、ぜったい消さない。むしろより強化して、グローバルに広めてグループ全体を高めていきたいです。永守会長との役割分担では、自分は海外を中心にPMI(Post Merger Integration:M&A後の経営統合)を重点的に担っていくつもりです。海外のグループ会社を飛び回るのは移動だけでも消耗しますし、さらに現場を訪れて大勢の人間と直に話すのは相当にエネルギーを使いますが、そこは自分の得意な部分でもあるし、注力していきたい。先にも言いましたが、バラバラな方向を向いている人々を一つにまとめていくのは好きなんです。それを欧米人のようなもともと価値観が違う人々を相手にやって、最後にぴたっと気持ちが通うようになれたら、こんな嬉しいことはないですね。
もちろん時間はかかるでしょう。工場だけでも世界に300拠点くらいありますから。でも、ベースは多分みんな一緒。みんな「いい会社にしたい」、「成長したい」と思っているはずで、それをいかに引き出していくかです。一つひとつ工場を訪問して、現場で一緒に作業して、一人ひとりに話を聞いて…そういうなかで「おっ、こいつ一緒にやってくれそうだな」となっていく。まずそこからですね。

どこまでも成長し続け、誰からも尊敬される企業に。 どこまでも成長し続け、誰からも尊敬される企業に。

─最後に、日本電産をどのような企業にしたいですか?

一つは「どこまでも成長し続ける会社」です。当社は「2030年度に売上高10兆円」という目標を掲げています。非常に高い目標だと思いますが、現在の様々な分野での「電動化」の流れを見れば、決して実現できない数字ではありません。そして、これを達成しても成長は止めない。「100年後も成長し続けるんだ」と社内にはよく言っています。
もう一つ目指しているのは「尊敬される会社」になること。GEにいたとき一番嬉しかったことは、「世界一尊敬される会社(World’s Most Respected Company)」に自社が選ばれたことでした。尊敬される会社というのは、子供に「パパはこんな会社に勤めてるんだ」と誇れる企業。みんながその会社に入りたがり、自分も「子供をこの会社に入れたい」と思える企業。それを目指していきます。日本電産という企業は社会に貢献する活動も色々やっているのですが、なかなか認知されていません。それらを社会からもっと見えるようにしていきたいですね。
世の中になくてはならない製品・サービスを、社会の隅々にまで行きわたらせ、社会の役に立つことで利益を上げ、各地に雇用も創出していく。そして「あの会社いいな」と、日本だけでなく、世界の人々から思ってもらえる企業になる。それが今の私の夢ですね。

水泳でリフレッシュ

仕事以外の趣味というと今は「水泳」くらい。ゴルフは全くやらないし、テニスも昔やっていましたが今はしません。仕事の合間に時間を作って泳いでいます。水泳は水着とプールさえあればできますから。水の中は陸上の8倍くらい負荷がかかるのでカロリー消費も多くて「いらち」にはいいんです。
泳ぐときはクロールで1時間くらい休まず連続で泳ぎます。25mプールで50往復、2500mくらい。泳ぎ始めの2往復くらいは途中でやめる理由をずーっと考えてます。「あのメールを送らなければ」とか、「これで風邪をひいたら出張に行けない」とか。でもそのうちアドレナリンが出てきて、ハイになってきて、逆に「50往復しないと今月は未達になる」とか願かけみたいになってくる(笑)。50往復すると相当疲れるし、体重も2kgくらい落ちますが、心身がリフレッシュされて「よし、仕事しよう!」という気持ちになります。結果的に仕事の生産性も上がっていると思いますね。

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