「労働力」となるロボットの現在・未来 「労働力」となるロボットの現在・未来

トラクションモータシステムの巨大工場を中国に建設

─今後の展開をどのように考えていますか?

今後の世界のEV市場の中心になると目されているのが中国市場で、いま当社では中国・平湖工業圏の広大な敷地に、巨大専用工場(床面積66,000平米)を建設中です。2019年5月から製品を出荷しはじめる計画なので、急ピッチで工事を進めているところです。
当社のE-Axleは発表以来、多くの引き合いをいただいており、すでに中国の現地自動車メーカーからの受注が確定しています。他の中国自動車メーカーや日本、欧州、米国、韓国の大手自動車メーカー、ティア1などへも積極的な提案活動を進めています。

─トラクションモータ分野で最初の「実績」ができたわけですね。

まさにそうなのです。実績を積み重ねていくことで、顧客との商談がよりスムーズになっていくと考えています。今後は、一体型システムで提供するほかに、ティア1が開発したギアやインバータと組み合わせられるようモータ単体でも販売していく方針です。
中国自動車メーカーは技術力不足により日米欧の自動車メーカーのようにトラクションモータシステムを独自開発できないことから内製にこだわりません。したがって、外部から丸ごと一体型システムを購入します。中国自動車メーカーは欧米ティア1とのしがらみに囚われないので、当社のような新参者にも勝機があります。中国でのE-Axle量産・販売が軌道に乗れば、実績を基に更なるグローバル展開も視野に入れています。一方で日米欧の自動車メーカーは自力でトラクションモータシステムを開発・内製することができることに加え、傘下には長年付き合いがあり信頼も厚いティア1が存在するので、ティア1のトラクションモータシステムを使う傾向にあります。したがって当社はティア1からモータ単体のみを受注します。ティア1には当社のようなモータ専業メーカーが少なく、当社にとって非常に有利な環境です。 仮に自動車メーカーからシステムを受注できなくてもモータ単体を受注できるので、 最終的に当社のモータが多くのEVに搭載されていくでしょう。

大いなる目標に向け、挑戦者として、着実に歩を進める 大いなる目標に向け、挑戦者として、着実に歩を進める

トラクションモータが車載事業の次なる成長ドライブとなる

─最後に、車載事業全体の中長期的展望についても教えてください。

現在、当社の車載事業を支える主力製品の一つが「電動パワステ用モータ」です。当社の「電動パワステ用モータ」は現在世界シェア30%で世界No.1を獲得していますが、今後もシェア拡大を継続させて2020年度には世界シェア50%にまで高めていけるよう取り組んでいきます。
次に「次世代ブレーキ用モータ」です。次世代ブレーキはペダルを踏む力や速度を信号としてとらえてモータでブレーキをかける仕組みで、緊急時に瞬時に効いて事故の削減に貢献できるほか、自動走行時の微妙なブレーキ制御がし易いというメリットもあります。これからの自動車ブレーキはエンジン車も含めてすべてこれに置き換わっていくと予想されています。我々にとって非常に幸運だったのは、このモータには電動パワステ用モータと同じものが使えるということです。世界シェアトップのモータがまさにそのまま使えるので、高品質な製品を大量かつ安価に提供できます。各メーカーからも高い評価を得ており、こちらも2020年度には世界シェア60%を獲得し、世界シェアNo.1を目指したいと考えています。
これらの製品を中心に、2017年度に2,954億円だった車載事業の売上高を2020年度には7,000億円~1兆円にまで伸ばすことを目標に掲げています。

2020年度時点では、トラクションモータの売上寄与はあまり大きくないですが、これまで説明したように、今後大きく需要が伸びていく分野です。2025年には車載事業をけん引する存在へと成長するはずです。
そして、全社で掲げている2030年度売上高10兆円という大目標の達成に向け、車載事業では売上高4兆円が必要になると考えていますが、このトラクションモータビジネスの伸長が大きなカギとなるでしょう。
先述の「電動パワステ用モータ」と「次世代ブレーキ用モータ」に、「トラクションモータ」を加えた三本柱によって車載事業を更に大きく成長させていきたいと思っています。

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