Nidecの技術力

サブミクロンレベルの
精密加工技術

HDDモータ・世界シェアNo.1を実現した精密加工技術は、
日本電産グループのものづくりを支える基幹テクノロジー。

日本電産グループでは、モータ、センサ、ファン、ブロア、ポンプなど、さまざまな製品を製造していますが、とくに高い精度を要求される製品がHDD用モータとその関連部品です。中でも、流体動圧軸受に使われる部品はミクロンオーダーからサブミクロンオーダーの精度が要求され、長年にわたって高度な加工技術を構築してきた日本電産では、製造ラインにおいても独自に開発した製造設備や検査機器が稼働しています。

たとえば、DVDやBD(ブルーレイディスク)であれば、それぞれの規格が厳密に定められているため、その規格さえ満たせば製品として成り立つので、一定規格以上の性能を要求されることはありません。しかし、HDDはDVDやBDとは異なり、大容量、高速書き込み/読み取りを追求して進化を続けています。1956年にHDDが登場してから半世紀以上経ちますが、この大容量、高速書き込み/読み取りの流れはひと時も留まることなく、現在も続いています。
大容量、高速書き込み/読み取りを実現する技術として、磁気ヘッドや磁気記録方式の革新が注目されがちですが、実はHDDの進化にはHDDを構成するメカニズムも大きく貢献しているのです。そのひとつが、流体動圧軸受です。磁気ヘッドや磁気記録方式の革新によって微細な領域に高速で記録することが可能となり、ボールベアリングから発生する振動が書き込み/読み取りを阻害する要因として問題視されたのが流体動圧軸受登場のきっかけとなったのです。

HDDの大容量、高速書き込み/読み取りの進化により、メカニズムの精度がクローズアップされ、ボールベアリングに替わる新しい機構として流体動圧軸受が世に出ることになった

軸受に刻まれたヘリングボーン形状の溝によって発生するオイルの動圧によって軸を支えるという流体動圧軸受の原理自体はシンプルですが、このシンプルな原理を実現するには非常に高度な加工技術を要します。たとえば、軸の直径精度はプラスマイナス1.5μmが公差となっていますが、生産工場内ではプラスマイナス0.5μmの範囲内に納まるように管理しています。軸と軸受のギャップは1μm、表面粗さについては機種にもよりますが、最も厳しいものでは0.02μmレベルが要求されるケースもあります。軸受にはオイルの動圧を発生させるヘリングボーン形状の溝を形成する必要がありますが、この溝を形成するための電解加工機は日本電産のオリジナルで、加工の際に用いる電極も内部で製造しています。
こうした非常に精度の高い製品を日本電産では月産数千万単位で製造していますが、その背景にあるのが、こうした非常に精度の高い加工技術なのです。

軸の寸法精度、表面粗さ、溝の寸法はすべてミクロン、サブミクロンオーダーで管理される

昨今、HDDの能力を高めるためにHDD内にヘリウムガスを封入するモデルが登場していますが、ここにも日本電産の技術が活かされています。ヘリウム封入HDDは内部が完全密封であるため、ヘリウム以外の残留ガスをなくすことが求められます。また、最新のモデルではディスクとヘッドのギャップは2nm以下であるため、コンタミネーションを極限まで減らすことが求められます。残留ガスとコンタミネーションを極限まで減らすためには、生産工程のあらゆる場面において洗浄とベーキングをくり返し、製品を清浄に保つ必要があります。洗浄に用いる洗剤は製品にダメージを与えないもの、残留しないものを選び、純水による洗浄と組み合わせます。ベーキングの際の温度、加熱時間、ベーク炉内のレイアウトなどにも、長年かけて培った経験・ノウハウが活かされています。現在、工場内はクラス100のクリーン度に保たれていますが、製造工程の一部ではクラス10化の計画も進められるなど、製造設備、製造条件ともに、いよいよ半導体並みのレベルが求められています。

ヘリウム封入HDD実現には洗浄、ベーキングを行い、残留ガスとコンタミネーションを極限まで減らす必要がある。製造工程の一部では半導体製造工場並みのクラス10化の計画も進んでいる