成長し続け、尊敬される企業に。代表取締役社長 吉本浩之 成長し続け、尊敬される企業に。代表取締役社長 吉本浩之

サイズ・種類・機能もさまざまなインテリジェントモータ®の
開発が進行中

─開発はどこまで進んでいますか?

小さなモータから、産業用ロボットのアームや自動車などのモビリティを制御する大きなモータまで、サイズや種類が異なるモータでも、同じソフトウェアで動くように開発を進めています。今のモータのマイコンで対応できる機能は限られていますが、まもなく登場する現状の4倍のメモリ容量を持つマイクロプロセッサ※をモータに搭載すれば、できることがぐんと広がります。メモリの容量が増えることで、さまざまな機能が追加できるようになるからです。
どんな機能を搭載するかは、モータで動かすモノやお客様のニーズによって変わってきます。お客様のヒントになるよう、インテリジェントモータでどんなことができるかを分かりやすく伝えられるよう開発を進めています。
※マイクロプロセッサ…コンピュータの基本的な演算処理を担う半導体チップのこと。

NECとのオープンイノベーションが、
インテリジェントモータ®の可能性をさらに広げる

─2017年12月に、NECと日本電産は、複数のロボットを無線で協調制御する技術を共同開発したと発表されました。
これはどんな技術ですか?

昨今、IoTの普及によって、ロボットが無線ネットワーク経由で遠隔制御できるようになってきていますが、複数のロボットを遠隔からリアルタイムに協調制御するにはさまざまな課題がありました。例えば、遠隔地から制御命令を送信しても、無線ネットワークの通信遅延のため制御命令の到着が遅れてしまい、制御が意図通りにならないことがありました。遅れて到着する分だけモータの状態も変化するためです。
今回、日本電産が開発したのは、複数のインテリジェントモータ間、またはインテリジェントモータを搭載した複数のロボット間で「密に会話できる」(高精度に同期する)技術です。これにNECが開発した「通信遅延予測技術」を組み合わせることで、複数のロボットを遠隔からリアルタイムかつ高精度に制御することが可能になったのです。工場や倉庫で使用されるAGV(無人搬送台車)への技術適用を想定した実験では搬送効率を従来比で30%改善できました。

─複数のロボットをリアルタイムに制御できると、どんなメリットが生まれますか?

AGVに搭載されたインテリジェントモータは外部の制御用コンピュータと無線通信でつながれており、「こういう経路で進んでください」と大まかな指令を出しておくと、1台のAGVを制御するモータ同士はもちろん、ほかのAGVに搭載されたモータとも会話をして協調作業をしてくれます。
それにより、従来は荷物の重量ごとに異なるAGVが必要でしたが、同じ規格の小型AGVを複数組み合わせて作業させることも可能となります。100㎏用のAGVがあれば、200㎏の荷物は2台で運び、AGVに搭載されたインテリジェントモータ同士が、「こちらの荷重が傾いたので、そちらでバランスをとってね」、「床に凹凸があるから動きを止めよう」といった会話をして荷物を運んでくれるのです。荷物の重量に応じて、低コストの小型AGVを必要な分だけ組み合わせればよいので、コストダウンにもつながります。

NECと日本電産、インテリジェントモータ®搭載のロボットを無線で協調制御する技術を共同開発

─実用化はいつごろになりそうですか?

2019年度中の製品化を目指して、AGVを手がけているグループ会社、日本電産シンポで実証実験を進めています。実用化に欠かせない充電のワイヤレス化技術についても、現在、他企業と共同開発中です。

あらゆるモータがインテリジェント化される世界

─モータがすべてインテリジェント化されると、日本電産にはどのようなインパクトがありますか?

現在、日本電産が生産しているモータは年間30億個を超えます。小さいモータから大きなモータまであらゆるモータをこれだけ出荷している会社は当社しかなく、圧倒的な数と種類は市場における優位性を生み出しています。それらのモータ全てを2025年までにインテリジェント化する予定です。今後、「モータが産業のコメになる」と会長の永守は言っていますが、コメのままでは儲かりません。そのコメをどう料理するのか、つまり「何と組み合わせて、どう売るのか」といったことを考え、付加価値を高めていくことが必要です。インテリジェントモータは、モータの付加価値を高めるカギとなり、2030年度の当社グループ売上高目標である10兆円達成に大きく貢献するものとみています。

─消費者はいつモータのインテリジェント化に気付くのでしょうか?

おそらく最初は家電ロボットのようなものでしょう。人間の呼びかけに応答するAIスピーカーが注目を集めていますが、アメリカではすでにAIスピーカーが各部屋にあり、日本でも普及が進んでいます。将来的には、このAIスピーカーに手足がついて、主人の後ろをついてきていろいろな指示を聞く。まさにSFアニメのような世界が実現するかもしれません。その時には、家電ロボットの可動部分にインテリジェントモータが搭載されていることでしょう。