2018年度特集 - 持続可能な世界への貢献

1. 脱炭素化を駆動する

気候変動の脅威に直面する世界は、パリ協定において脱炭素化へ向かう道を選択しました。
日本電産グループは、高性能のモータや関連製品を含むモジュールシステムの開発、そして再生可能エネルギーの普及を支える電力管理ソリューションの提供により、世界の脱炭素化への動きを加速させています。

パリ協定が指し示す大転換

2015年12月の気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)で採択され、2016年11月に発効したパリ協定は、地球の平均気温の上昇を産業革命前と比べて2℃より十分下方に抑えるとともに、1.5℃に抑える努力を追求することなどを目的としています。そのためには、今世紀後半に人為的な温室効果ガス排出量と、植物などが吸収する削減量を差し引きでゼロにする「実質ゼロ」の達成が必要とされています。
この“脱炭素化”は、今後の世界における社会経済活動のあり方を根本的に方向付けることになります。そして、エネルギー使用時のCO2排出の劇的な減少と、化石燃料に頼らないエネルギー源の拡大が要請されます。SDGsの目標7(エネルギー)と目標13(気候変動対策)も、脱炭素を進めるための目標です。

化石燃料に依存しない社会に向けて

国際エネルギー機関(IEA)によると、世界のCO2排出量(燃料由来、2015年)は、発電や熱供給に伴うものが42%、車両等の輸送によるものが24%を占めています。エネルギーの利用効率を高めるとともに、これまで主流だった化石燃料を再生可能エネルギーで代替していくことにより、世界は脱炭素化へと前進できます。

再生可能エネルギーを普及させる電力システム

IEAによると、最もCO2排出割合が高いのは発電時における排出です。脱炭素化のためには火力発電から太陽光、風力、水力といった再生可能エネルギーによる発電への転換が不可欠です。
しかし、再生可能エネルギーはまだ十分に普及していません。その要因の一つとして、安定した発電ができないことが挙げられます。例えば、太陽光や風力による発電量はその時々の天候や気象条件等によって大きく変化し、発電量が不足する場合もあれば、余剰が生まれる場合もあります。
電力システムにおいて100年を超える技術蓄積を誇る日本電産ASIは、再生可能エネルギーの発電、蓄電、送配電を包括的に手がけています。離島や僻地などの遠隔地にも安定的に低コストの電力を供給するシステムソリューションを提供しています。
その核になるのが、太陽光、風力など各種発電機と蓄電池を統合し、電力の最適管理を可能にするマイクログリッド技術です。
日本電産ASIは、マイクログリッド技術において重要な役割を果たしているBESS(Battery Energy Storage System:電力貯蔵システム)に強みを持っています。
このBESSを利用することで、一時的に余剰電力を貯蔵し、不足時に放出することで電力の安定供給が可能になります。これまでに、イギリス、ドイツ、フランス領コルシカ島などで大規模BESSを構築するプロジェクトを実施し、世界で稼働する総容量は2017年中に500MWを超えました。500MWの発電容量では、10万世帯程の消費電力を賄うことができると考えられています。

電力貯蔵システム(BESS)

BESSに不可欠な電力変換システム

高性能モータによるエネルギー効率の向上

作られた電力の消費に目を向けると、世界の電力消費の約半分をモータが占めると言われており、当社グループはモータ消費電力削減にも力を注いでいます。
産業向けには、2014年からIE3(プレミアム効率モータ)の供給を開始し、搬送機、ブロワといった生産設備の省エネ化を支援しています。日本電気工業会は2015年に、日本国内で使用されている大半の産業用モータ(IE1)がIE3モータに全て置き換わると、およそ年間1,500万MWhもの消費電力が削減できると試算しています。さらに、当社グループはより高効率なIE4、IE5のモータも開発しています。
民生向けでは、消費電力の大きい冷暖房・空調機器の省エネが重要になります。最適制御を実現するインバータ・エアコン向けのブラシレスDCモータは、当社グループが強みを持つ製品です。送風モータや、インバータ回路と組み合わせてモジュール化した高効率モータを、エアコンメーカーに供給しています。冷蔵庫や洗濯機、調理家電、AV機器といった用途にも広くブラシレスDCモータを供給し、屋内空間全体のエネルギー効率を高めています。

自動車の電動化を支えるモータ

トラクションモータシステム(E-Axle)

輸送によるCO2排出量は全体の24%と、発電時におけるCO2排出に次いで大きな割合を占めており、その大半がガソリンや軽油を燃料とする自動車に起因しています。自動車は、エンジン駆動からモータ駆動への移行という100年に一度の技術革新のただ中にあります。パリ協定の発効を受け、CO2排出規制の強化やガソリン車禁止の動きが各国で進行し、自動車の電動化という方向性が決定付けられました。
日本電産グループは、自動車を動かすための駆動力を発生させるトラクションシステム、ハンドル操作をアシストするEPS(電動パワーステアリング)、そしてブレーキといった、自動車の基本機能「走る・曲がる・止まる」の全てに高効率モータを提供しています。
2018年4月には、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)向けに開発したトラクションモータシステム「E-Axle」を発表しました。E-Axleは、モータシステムとしての優れた性能に加え、独自開発した新冷却システムによる小型・軽量化により、高効率・低燃費車両の実現に役立っています。

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