2020年度特集 - 国連持続可能な開発目標(SDGs)への貢献

脱炭素化を加速する

地球の平均気温上昇を産業革命以前に比べて1.5℃に抑える。IPCC※1が2018年に公表した「1.5℃特別報告書」を受け、世界規模で脱炭素化の動きが加速しています。かねてより高効率モータや関連製品の提供を通し「省エネルギー」で貢献してきた日本電産グループもまた、「創エネルギー」へと挑戦の舞台を広げ、地球環境へのさらなる貢献を模索しています。

事例 2 再生可能エネルギーの活用を下支えする電力貯蔵システム

風力や太陽光といった再生可能エネルギーは、気象条件に発電量が左右されます。需要に供給が追いつかない、供給電力が規格(Hz)から上下する―世界で頻発する停電や電力品質の問題は、脱炭素社会の実現への大きな関門です。
これら課題の打開に向け日本電産ASIは、産業用電力システムと電力品質に関する知見を活かし、各種発電機と蓄電池を統合し地域ごとにきめ細かく電力管理するマイクログリッド技術に注力しています。中でも余剰電力を貯蔵し不足時の安定供給に備えるBESS※2には中核技術として着目しており、ヨーロッパ各地で大規模BESSを構築するプロジェクトを展開しています。稼働総容量が2019年度末までに612MW(12万世帯の消費電力を賄える規模)に達した取り組みは、1.5℃対応で世界に先んじるヨーロッパにとどまらず、経済成長に向け電力インフラの構築を進める新興国など世界各地から期待を集めています。

※1 Intergovernmental Panel on Climate Change:国連気候変動に関する政府間パネル。1988年に国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)により設立された気候変動に関する調査・提言組織
※2 Battery Energy Storage System:電力貯蔵システム

ドイツのシュテアグ社へ納入したBESS

Our Story

日本電産ASI フランス現地法人 社長
Franck Girard

安定したエネルギー供給を、世界に

日本電産グループの再生可能エネルギー事業で大きな柱に育ちつつあるのが、イタリア・ミラノに本社を置く日本電産ASIが手がけるBESSです。日本電産ASIは、2016年に世界最大級の総容量90MWのBESSをドイツの電力大手シュテアグ社向けに納入し、注目を集めました。ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスの調べによれば、世界で稼働する日本電産ASI製BESSの総容量は500MW以上と世界トップの座にあります。
そういった経緯から私は、2018年10月に日本で開催された国際会議ICEF(Innovation for Cool Earth Forum)に、日本電産グループを代表して出席しました。ICEFでは、約80の国・地域から学界・産業界・政府関係者約千人が集まり、気候変動問題の解決に向け話し合いました。私は「再エネマイクログリッドとエネルギーアクセス」分科会で、企業事例としてBESSを含むマイクログリッド・ソリューション事業のプレゼンテーションを行いました。再生可能エネルギー利用の需要地近接型電力システムをチリの山村に設置したことで地域の方々が24時間365日安定して電力を使えるようになった事例等を通し、BESSの提供価値や今後の課題を紹介しました。
世界的な再生可能エネルギーの活用拡大により、世界のBESS市場は年平均10~15%の急成長を続けています。私は、この力強い成長は、今後10年間は持続すると予測しています。これからも、マーケットリーダーとして高品質で最先端のBESSの普及を通して、世界の電力網の安定化と脱炭素社会の実現に貢献していきたいと考えています。

Nidec Group Search