2020年度特集 - 国連持続可能な開発目標(SDGs)への貢献

EVの普及に貢献する

一層深刻になる気候変動問題に対して、企業と一般家庭がそれぞれ取り組める電気自動車(EV)の活用は最も有効な対策の一つです。高まり続ける国際社会の期待を受け、日本電産グループはこれまでに培った技術を活かし、EVの心臓であるモータ、そしてトラクションモータシステムの低価格化・高品質化を実現することで、EVの普及に貢献していきます。

事例 3 車の電動化を加速する
小型かつパワフルなトラクションモータ

電気自動車(EV)のさらなる浸透に向け、現在、各種システムの軽量・コンパクト化、高効率化が急がれていますが、中でもエンジンにあたるトラクションモータとその駆動を制御する周辺機器の技術革新は大きなテーマとなっています。
日本電産グループは車載および精密小型モータに関する豊富な知見を基にトラクションモータにも2010年より取り組んできました。この結果、モータとインバータ、ギアを一体化したトラクションモータシステム「E-Axle」を開発しました。繊細な電子部品であるモータと振動を伴うギアを一体化した同製品は非常に小型・軽量であり、例えばBセグメント※向けのNi150Fシリーズでは87kgを達成。またモータの容積も出力が同レベルの他社製品に対して約半分となっています。独自開発した新冷却システムにより小型ながらも高効率・高出力でモータを回すことが可能な点も強みであり、同製品は多様な車種への搭載を開始しています。

※ 全長が3,750mmから4,200mmまでの乗用車を示すとされ、一般的なコンパクトカーの多くが該当します。

トラクションモータシステム「E-Axle」Ni150Fシリーズ

Our Story

日本電産株式会社
車載事業本部開発統括部
設計第1部第3グループ
小山 崇宣

EVに乗るのが当たり前、そんな未来のために

全世界共通の課題となっている脱炭素化を実現するためにEVの普及は欠かすことができません。我々は安心して長距離を走ることができる高効率かつ、自動車メーカーの車両設計の自由度を上げることができる小型で軽量な、次世代のトラクションモータを開発したいと考えました。
安心して長距離を走るためには高効率なモータを開発することが必要です。日本電産グループは独自の新冷却システムである「2way油冷システム」を採用し、理想的な熱マネジメントを実現することを可能としました。
EVの普及を進めるためには環境にやさしいだけではなく、EVの価格を下げて消費者に手に入りやすくする必要もあります。そこで品質を高めるだけではなく、製品の低コスト化もとことん追求しました。日本電産グループのE-Axleはモータ、ギア、インバータからなる「三位一体」構造をとり、さらに軽薄短小を実現させることで低コスト化を図っています。EVの価格には車載モータが大きく影響しており、車載モータの価格が下がればEV自体の価格も下がります。低価格かつ高性能の車載モータを開発することは、EVの開発を推し進め、EVの普及に大きな効果をもたらします。今後はE-Axle単体だけではなく車両プラットフォーム(電池や車台などのモジュール)までを丸ごと日本電産グループで手がけ、自動車メーカーに提案していきます。また、E-Axle自身においてもさらなる小型化および軽量化に向けた製品開発を行い、他社を圧倒していきます。これらの開発を通してEVの普及を加速させ、世界中でEVに乗ることが当たり前となり、脱炭素化に大きく貢献したいと考えています。

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