2021年度特集 - 統合報告書2021

人材戦略

日本電産のサステナブルな成長に向けて 常務執行役員 最高業務管理責任者 牛尾 文昭

日本電産が「100年を超えて」サステナブルに成長を持続する上で、人材戦略が益々重要な課題となってきています。新中期戦略目標「Vision2025」では従業員一人当たりの売上高と営業利益を2022年度までに3割引き上げ、2025年度までに倍増させる(2020年度比)目標を掲げていますが、当目標は「2023年度の従業員給与30%増(2020年度比)」の前提条件であり、当社の競争力強化への喫緊の課題として取り組んでいます。生産性の向上に加えて、ダイバーシティ拡大推進も日本電産のサステナブルな成長にとって重要な課題として認識しています。中長期的には多様性マネジメントを当社グループの強みとなる水準にまで高めていきたいと考えています。

生産性向上施策

1. 働き方改革

 働き方改革の初動として、2016年に「働き方改革委員会」を設立し、生産性向上に向けた組織課題を特定すべく現場へのヒアリングを実施しました。その結果、「在宅勤務制度」「時差勤務制度」「時間単位年次有給休暇制度」の3つの制度が必要であると判断しました。
 「在宅勤務制度」を2017年4月より導入し、加えて「時間単位年次有給休暇制度」も同時期にスタ―トしました。「時差勤務制度」については、2017年4月から対象事由を業務都合、育児・介護、自己啓発に拡充し、より柔軟な活用を可能にしました。
 3つの制度のいずれも、柔軟な勤務形態を可能とするものです。在宅勤務制度については、BCP対策としても大きな役割を担っています。新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、社員と家族の健康を第一に、適用対象者および日数制限を撤廃して在宅勤務を最大限に活用しています。

経営目標達成に向けた生産性の向上 生産性2倍の実現へ▶ハードワークから高効率労働の追求へ「労働時間」から「生産性」へ転換

2. 人事制度改革

 人事制度については、「評価制度」「等級制度」「報酬制度」を大幅に改定しました。2020年度に導入した新たな「評価制度」は従業員の実力・実績を四半期単位でより明確に反映する評価手法を用いており、会社に良い変化をもたらす人材を厚遇することを主眼においています。「等級制度」「報酬制度」については、2021年度より導入がスタートしており、「ジョブ型人事制度」の考えに沿った制度設計となっています。「等級制度」により、職務等級にて責任と権限が明確化され、専門性の深耕、キャリアビジョンの明確化を推進するとともに、「報酬制度」については、「職責」と「成果」に応じたメリハリのある処遇を行う形としました。「評価制度」「等級制度」「報酬制度」が三位一体となって組織、人材、処遇の適正化を可能としています。
 上記は従業員に関わる変革ですが、役員の処遇についても、業績連動型株式報酬の導入により目標達成へのインセンティブを高める制度としています。

※ 「統合報告書2021」 P.52、または「コーポレート・ガバナンス」ご参照。

3. DX推進

 DX(デジタルトランスフォーメーション)については、生産性向上の観点から、2020年12月にDX推進室を立ち上げ、
①「スリー新(新市場・新製品・新顧客)DX」
営業のデジタルトランスフォーメーション
②「ものづくり DX」
設計・製造のデジタルトランスフォーメーション
③「社員DX」
社員一人当たりの生産性向上に向けたデジタルトランスフォーメーション
の3つの観点で推進しています。
 DXをリードする先進の営業支援ツールを導入し、将来的に全グループ会社に共通のシステムを用いることで「One Nidec Platform」の実現を目指しています。業務効率化、生産性向上に必要と判断した投資は今後も実施していきます。

ダイバーシティ

 日本電産は「多様性」を競争力の源泉および今後のサステナブルな成長の重要基盤として認識しています。グローバルに展開する日本電産グループでは、多様な人材が活躍しています。個人の属性や価値観に関わらず、人材の潜在力を発揮できる人材評価・登用や職場環境づくりに取り組んでいます。
 女性の活躍推進については、2017年には専任組織として「女性活躍推進室(現人事部D&I推進グループ)」を設置し活躍支援に取り組んでおり、女性の管理職、管理職候補層の増加や男性の育児参画度の向上等の成果が出ています。女性管理職比率については、日本電産単体では2020年度で5.7%(女性従業員比率20.6%)となっています。
 仕事と家庭の両立支援の施策については、2018年に配偶者転勤休職制度を導入、カムバック制度(旧再雇用制度)を改定、2020年に子の看護休暇、介護休暇について半日単位から1時間単位で取得できるよう制度を拡充し、前述の時間単位年次有給休暇制度と併せて、従業員の柔軟な働き方をサポートする制度を整えています。
 LGBTQ社員に対する取り組みとして、当社の就業規則では性差、性的指向、性自認等に関係なく人格を尊重し、互いに一致協力することを明文化しており、その一環として、配偶者に適用される人事規程を同性パートナーにも適用しています。
 また、障がい者雇用に向けた取り組みとしては、性別・学歴・年齢等を問わず能力重視で人材を登用する組織文化に加え、スロープや多目的トイレ、車椅子専用駐車場など、社内のバリアフリー化も積極的に進めています。

社員の地域別割合

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