2022年度特集 - 統合報告書2022

環境

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脱炭素社会の実現

製品を通じた脱炭素化への貢献

基本的な考え方

気候変動問題の深刻化を背景として脱炭素化へ向けた世界的な潮流が加速する中、当社はグローバルに事業を展開する企業として脱炭素化に資する製品の開発・供給に注力していきます。具体的には、世界中で排出されるCO2量の10%以上を占めると言われる自動車に供給する製品に着目し、世界的な自動車電動化の潮流に連動する製品の販売台数をCO2排出削減量に換算、KPIとして設定することとしました。
当社製品を通じた脱炭素化への貢献については投資家をはじめとしたステークホルダーから一定の評価をいただいているものの、それを裏付ける数値情報の不足が課題であると認識しています。2020年11月には電気自動車用駆動モータシステム「E-Axle」導入によるCO2排出削減量を開示していますが、今後は電動パワーステアリング用モータ導入によるCO2排出削減量についても把握するなど、より多くの製品で脱炭素化への貢献度を可視化することを目標として施策に取り組んでいきます。

マテリアリティ Phase1 KPI

具体的な製品例:高効率・省エネモータの提供

自動車のCO2排出量削減の鍵は、エンジンの負荷を抑え、燃費を改善することにあります。世界の多くの自動車メーカーは、こうした視点からEPS(電動パワーステアリング)の採用を推進。当社グループは油圧式のものと比較して約5%の燃費向上が見込める電動パワーステアリング用モータを供給しています。
また、アイドリングストップ機能を実現する電動オイルポンプ用モータなど、当社グループはCO2や大気汚染物質の排出低減につながる製品群を供給しています。

その他製品の取り組みは、以下をご覧ください。
製品による環境貢献

2021年度の取り組み

2021年度、当社の電気自動車用駆動モータシステム「E-Axle」の販売台数は累計37万台以上にのぼりました。当社のモータが搭載された電気自動車が市場に投入されることより、CO2排出量の削減に貢献しています。また、2021年度は155千tのCO2排出削減を達成しており、現状のペースで行くと、2025年までの達成目標として掲げている「累計11,700千tのCO2排出削減」の達成は可能と見込んでいます。

今後に向けて

当社は2022年9月に第2世代のE-Axleの量産を開始しました。第2世代は高性能であることはもちろん、当社がこれまで培ってきた軽薄短小化技術をフル活用し、部材やレアアースの使用量を抑えていることが大きな特徴です。今後、第2世代モデル、さらには構想段階にある第3世代モデル、第4世代モデルへの置き換えと販売を拡大することによって、より小さく高性能で環境負荷の少ない製品を供給し、加速する脱炭素化への動きに貢献していきます。

事業活動で排出するCO2の削減

基本的な考え方

「製品を通じた脱炭素化への貢献」に加えて、事業活動におけるCO2排出量削減にも注力していきます。当社グループは、今後もM&Aを含む事業規模の拡大によりエネルギー使用量は増え続けることが想定されるため、使用するエネルギーの総量が増加してもCO2排出量を削減する仕組みの構築が不可欠であると認識しています。こうした中、当社グループにおける総連結エネルギー使用量の80%以上を火力発電由来の電気が占めることから、再生可能エネルギー(再エネ)への大幅なシフトを当面の目標としてKPIを設定しました。

マテリアリティ Phase1 KPI

具体的な取り組み例

CO2排出量を削減する取り組みとして、空調システムの効率改善や省エネ機器の導入、再エネ100%電力への切り替えなどの施策を進めています。

再エネ100%電力を導入している中央モーター基礎技術研究所
再エネ100%電力を導入している中央モーター基礎技術研究所

2021年度の取り組み

2021年度は再エネの導入に重点を置き、CO2排出量削減に取り組みました。2021年度の再エネ導入比率は2018年度比で3.5倍強の10.5%を実現し、事業活動におけるCO2排出量合計(Scope 1,2)は2018年度比で23%削減の513千tとなりました。また、TCFDについては、提言への賛同表明準備を進めてきました。

今後に向けて

自社事業のエネルギー効率向上と再エネの導入との両輪の取り組みを進めていきます。まず、省エネ診断ツールの活用や優秀事例の共有を行うことで、各事業所の設備および機器のエネルギー効率を改善します。次に、各事業所単位での再エネ導入と同時に地域単位での包括的な再エネ調達を組み合わせることで総連結の再エネ導入比率を向上していきます。TCFDについては、2022年4月に当社グループはTCFD提言への賛同を表明しました。今後はシナリオ分析を通じて気候関連リスク・機会が及ぼし得る財務上の影響を把握し、経営戦略に組み込んでいきます。

廃棄物・有害廃棄物の管理

基本的な考え方

近年、廃棄物増加が世界的な社会問題となる中、当社は原材料の有効活用を実現するための事業プロセスの構築に注力しています。製造工程において極力無駄を無くすことはもちろん、容器や梱包材の使用を最小限にする取り組みも行っています。その他、廃棄物の分別徹底による再資源化の推進にも継続的に取り組んでいます。
また、当社グループは各事業所において化学物質の使用・保管等を十分な注意をもって行い、漏出を防止するとともに、生産工程の改善・革新の一環として化学物質の使用・排出量をできるかぎり削減しています。また、製品に含有される有害化学物質に対する国際的な規制にも、情報システムや分析技術を活用して包括的に対応しています。
今後も廃棄物・有害廃棄物の管理に取り組み、社会的要請の高まりに応えていきます。

マテリアリティ Phase3 KPI

具体的な取り組み

廃棄物管理

2021年度の廃棄物・有価物等発生量は、生産量の上昇に伴い2020年度比で11%の増加となりました。工場から発生する廃棄物・有価物はたとえ有価で売却できたとしても資源の有効活用の観点から発生そのものを削減する取り組みが重要だと考えています。今後は発生量を主原料ごとに把握し、製造工程の無駄の削減や材料歩留まりの向上に取り組み、原材料の有効活用に努めます。

化学物質の排出・移動量の把握と開示

当社グループは、日本の法令に基づくPRTR制度のもと、同制度が指定する化学物質で当社グループ国内事業所において使用しているものの排出・移動量を把握し、情報開示しています。

※ Pollutant Release and Transfer Register:化学物質排出移動量届出。

水リスクへの対応

基本的な考え方

水は人々の生活や産業にとって欠くことのできない最も貴重な資源であり、海水や氷山・氷河を除くと地球上で実際に利用可能な水資源は全体の1%程度しかないと言われています。当社は、水資源の枯渇は工場の操業短縮や停止等、事業継続への影響が大きいと認識しており、水資源の保全に向けた節水やリユース・リサイクルの取り組みを実施しています。また事業活動を継続していくための取水・排水リスクの把握や、取水・排水による周辺地域および水源地域への影響の把握といった水リスク管理に取り組んでいます。

マテリアリティ Phase3 KPI

具体的な取り組み

水の循環

日本電産科宝(浙江)有限公司では2021年度に水リユース・リサイクル率が総使用量の50%を超える等、一部の事業所では積極的に水のリユースやリサイクルに取り組んでいますが、環境保全活動第六次中期計画対象事業所全体でみると2021年度の水リユース・リサイクル率は低く、3.6%です。取り組みの進んでいる事業所の事例を活用し、優秀事例の水平展開に努めます。
一方、2021年度の排水総量について、各事業所で効率的な水使用に取り組んできた結果、生産事業所は2020年度比で約3%、非生産事業所は約1%の削減となりました。引き続き改善活動の徹底を推進するとともに、水リスクアセスメントを進めていきます。

※ 「環境保全活動第六次中期計画」の詳細は、以下をご覧ください。
環境保全活動中期計画概要

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