開発ストーリー

パワステモータ第1~第3世代

純電動パワステの最大の課題、コギングの低減に挑戦。
蓄積した技術と独創で課題を次々とクリア。

純電動パワーステアリングはモータがステアリングシャフトに直結し、ステアリング操作をアシストするため省燃費効果が高いとされていますが、コギングトルクがステアリングフィールに影響するため、コギングトルクの軽減が大きな課題となっていました。EPS(Electric Power Steering)分野に参入した当初、採用したのが、3つの極をまたいで各相の銅線を巻く分布巻きという方法でした。これは顧客側の仕様制限から分布巻を選択せざるを得ず、コギングを低減し、同時に出力を確保するため、銅線を高密度化に巻く複雑なステータ構造が必要だったのです。設計だけでなく、実際にモータを製造する量産部門にも大きな強みを持つ日本電産ならではの総合力で作り上げたモータでした。

EPS参入を果たした日本電産ですが、EPS需要が本格的に伸張し、ラインで大量生産するには構造が複雑すぎるという課題を抱えていました。そこで巻き線構造がシンプルな集中巻き方式を採用した製品を開発しました。そして集中巻の採用に合わせ、多極化することでトルクの変動を高周波化し、コギングを低減させました。分割したコアに巻き線を捲き、その後コア同士を組み立てる分割コア方式を採用しました。分割したコアに捲く方法は、コア間のスペースをすべて利用できるので、銅線を高密度に巻くことができ、高出力が実現できます。

量産が軌道に乗った集中巻きタイプのEPSモータでしたが、さらに対応車種が小型車まで拡大し、コギングの一層の低減と量産性をさらに追求するニーズが出てきました。このタイプのモータでは設計における自由度を増すために、従来のリングマグネットからセグメントマグネットに構造を大きく変更しました。マグネットの形状をより理想の形に近づけることで、コギング低減が期待できるのです。セグメントマグネットを採用すると同時に、マグネットの固定に接着剤を使用しない接着剤レス構造に変更することで品質の向上と生産性向上を達成しています。さらに製造ラインでのロバスト性を増すためにコア構造に工夫を凝らし、分割したコアを組み立てる際に公差が極小になるような構造になっています。

第1世代

  • 分布巻(磁石4極指定による)
  • 内、外コア分割によるコア組立式によるコギングの改善

分布巻きタイプ。外部インターフェイスの関係で極数が制限されたため、分布巻きを採用。

第2世代

  • 集中巻
  • 分割コア
    1つずつのティースに巻線を施して、最後にステータの最終形態に仕上げる

集中巻き・リングマグネットタイプ。シンプルな集中巻き方式を採用、大量生産への対応を考慮した製品。

第3世代

  • 集中巻
  • 分割コア
    1つずつのティースに巻線を施して、最後にステータの最終形態に仕上げる

集中巻き・セグメントマグネットタイプ。マグネットの形状に自由度のあるセグメント方式を採用。組み立て誤差をなくす工夫も。

開発者からのコメント

従来の油圧パワーステアリングに比べ省燃費効果が大きく、しかもEVの実用化が進む今日、EPSはオートモーティブ分野においては、最も重要なビジネス領域のひとつと言っても過言ではないでしょう。そうした重要な領域において、日本電産は長年にわたって培ったモータ設計、制御、そして量産技術を投入し高性能EPSモータを開発・製造。この分野においてもリーディング企業として、自動車の省燃費化に大きな貢献をしています。