ソリューション事例

成形技術を活かし車載カメラのレンズを
ガラス並みのプラスチックに

NEEDS
増え続ける車載カメラ市場にプラスチックメリットを活かす
SOLUTION
ガラス並みの性能をプラスチックで実現

熱にも、傷にも強い、プラスチックレンズを作れないか

先進安全技術の普及、自動運転技術の向上に伴って、今や新しく発売される自動車の多くには、カメラが搭載されています。車載カメラのレンズは通常何枚かのレンズを組み合わせて作られており、コスト面からプラスチック製の非球面型レンズの採用が進んでいます。しかし、最も外側のレンズだけは、表面強度を確保するため、ガラス製がほとんどでした。そのなかニデックインスツルメンツでは、保有しているプラスチックレンズの技術を活かし、車載カメラに採用される魚眼レンズの最も外側のレンズ(L1)に高硬度なプラスチックレンズを採用したレンズユニットの製品化に成功しました。

超広角で広い範囲をとらえる魚眼レンズは、車両周囲の状況を映し出すサラウンドビューモニターなどに用いられています。車外に装着され、外気や熱に暴露されるため、耐熱性が求められます。さらに、L1レンズは砂埃にさらされ、洗車機のブラシなどが当たっても傷つくことがないよう、スマートフォンのカメラなどとは桁違いのレベルの信頼性が求められます。そのため、車載カメラのL1レンズには傷つきにくく、耐熱性が高く、信頼性が高いガラスレンズが使われ続けてきていました。

ニデック(株)生産技術研究所との共同研究によりプラスチックレンズの特徴を活かす

ガラスと同等の表面強度を実現するため、基材として高硬度と耐熱性を両立する耐熱性アクリル樹脂を新たに採用しました。プラスチックでありながら、超高硬度を実現し、耐熱性も飛躍的に高めました。さらにハードコート(HC)を施し、その上に反射防止膜(AR=アンチリフレクション)膜を形成することで、強度を確保しながら反射率はガラス並みの1%以下を実現しています。

HCはその名の通り硬度を上げるためのものですが、有機物である基材と、無機物であるAR膜の間に位置するため両者の緩衝材としての役割を果たします。基材は熱によって伸び縮みしますが、AR膜は伸び縮みしにくいため、硬度を確保しながら緩衝機能を持たせる必要があります。そのため、無機物の組成やHCの厚み、何層にコートするのが最適なのか、試行錯誤を繰り返しました。このHCにより高硬度を実現しています。

AR膜は反射率を抑えるだけでなく、さらに硬度を高めることにも寄与します。ただ硬度を高め、層を増やすだけではクラックが発生しやすくなってしまいます。光学条件のシミュレーションと、実際にテストを繰り返し、多層に重ね、成膜条件を決定したAR膜と前述のHCにより鉛筆硬度を6〜7Hに高めることに成功しました。

これら高機能のHC、AR膜は、生産技術研究所との共同研究によって実現したものです。素材の組成や膜厚、層の数、そして工法など何万通りもある組み合わせのなかから最適解を見つけるのは、生産技術研究所のシミュレーション技術と生産技術に対する高い知見が必要でした。成形技術を得意とするニデックインスツルメンツと生産技術研究所のコラボによる、まさにOne NIDECで実現したレンズが、車載カメラの世界に新風を吹き込んでいます。

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