2021年度特集 - 統合報告書2021

マネジメントメッセージ

会長メッセージ

100年を超えて成長し続けるグローバル企業を目指して

代表取締役会長の写真

日本電産の使命

 2023年に日本電産は創立50周年を迎えます。1973年に私が3人の仲間と立ち上げた日本電産は、2020年度には連結売上高1兆6,181億円、営業利益1,600億円の規模にまで成長しました。これまでの成長に決して満足することなく、2030年度連結売上高10兆円企業を目指して今後もさらなる成長を加速していきます。
 「100年を超えて成長し続けるグローバル企業」を当社は目指していきますが、日本電産の使命と存在意義を再認識することがさらなる成長に向けて重要になると考えます。「世界一高性能なモータで地球に貢献する」ことが日本電産の使命であり、社会に必要とされる製品、ソリューションを提供することこそが当社の存在意義であることを改めて胸に刻み、全社グループ一丸となって成長に向かって進んでいきます。
 2021年度上期において、新型コロナウイルス感染拡大による当社ベトナム生産拠点操業度の大幅低下を筆頭として当社を取り巻く事業環境は決して順風満帆ではありませんでした。このように当社への逆風は今後も十分に考えられます。改めて日本電産の原点に立ち戻り、逆境を言い訳にすることなく、「どうすればできるか」「他人ができないと思っていることを、いかに挑戦してやり抜くか」を常に考え、挑戦を続けることが日本電産がその使命を今後も果たしていく上で極めて重要と認識しています。

経営体制変更

 2021年6月にCEO(最高経営責任者)の職責を関社長に譲りました。経営手法は私と非常によく似ており、即断即決ができること、リーダーシップがあること、そして人間性においてもCEOにふさわしいと判断しました。今後は関社長がCEOとして当社グループの業績に責任を持つ体制となります。私は引き続き代表取締役会長として当社グループの重要な経営の意思決定への参画を継続し、CEOである関社長をサポートします。また、創業経営者だからこそ取り組むべき業務に一層の力を注いでいきます。経営幹部や社員への経営理念の浸透、新規買収案件検討および買収後の経営改善、長期経営課題への対処等、今まで以上の情熱を持って職務に取り組みます。
 経営体制の変更は一朝一夕に結果が出るものではありません。創業以来48年間成長を続けてきた日本電産の経営哲学を学ぶには時間が必要です。関社長が日本電産の経営手法を学び経営を掌握するまでの間、私は「CEO補佐」として関社長を全力でサポートしていきます。
 当社の事業環境に逆風が吹いている「ピンチ」にこそ日本電産を成長させる「チャンス」があり、苦境の中にこそ成長の糧があることを、関社長も体験することで日本電産のリーダーとして更に成長していくものと期待しています。

必要な変革の実施

 当社には現在、創業以来の最大のチャンスが巡ってきていると言えます。100年に1回と言われる自動車の電動化の流れに乗った電気自動車用駆動モータシステム「E-Axle」を筆頭に、「5つの大波」に代表される世界的な課題に対して当社のモータ技術がソリューションを提供できる領域が飛躍的に拡大しています。このようなチャンスを確実に掴むことに加え、日本電産が「100年を超えて成長し続けるグローバル企業」となるよう、必要な変革は躊躇なく実施していきます。足許では、すでに「カーボンニュートラル宣言」や人事制度改革(生産性向上に向けた評価制度の変更、ジョブ型人事制度への移行等)、ガバナンス体制強化(監査等委員会設置会社への移行、報酬委員会の設置)など、当社のサステナブルな成長に必要な変革を実施しました。当社を取り巻く事業環境は日々変化しており「脱皮しない蛇は死ぬ」、すなわち変革しない企業は衰退するという精神を忘れずに、今後も必要な変革は着実に実行します。

※ 「統合報告書2021」P.19-20ご参照。

2021年12月

代表取締役会長

代表取締役会長の署名

CEOメッセージ

連結売上高10兆円に向けての挑戦

代表取締役社長執行役員(最高経営責任者)の写真

CEO就任にあたって

 2021年6月の株主総会をもって、創業者である永守会長に代わりCEOに就任しました。私がCEOとなっても永守会長が創業以来続けてきた「成長」への高い目線を変えるつもりは一切ありません。
 2030年度連結売上高10兆円を目指す上での中間点となる新中期戦略目標「Vision2025」を必ず達成すべく、今までの経験を最大限活かし、学ぶことは謙虚に学ぶ姿勢を忘れずに日々の業務に邁進してまいります。


2021年度の事業環境

 2021年度の第2四半期決算発表と同時に本年度の業績予想を上方修正しました。新しい業績予想は連結売上高1兆8,000億円、営業利益1,900億円です。上期は、新型コロナウイルス感染拡大による当社ベトナム生産拠点の操業度大幅低下や顧客の生産調整、原材料価格高騰等、当社にとって厳しい事業環境となりました。下期も、引き続き事業環境は予断を許さない状況と認識しています。当社の事業環境への逆風を言い訳にすることなく、日本電産の基本精神である「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」の精神に立ち返り、目標達成に向けて全力で取り組んでいきます。

新中期戦略目標「Vision2025」

 2021年7月に新中期戦略目標「Vision2025」を公表しました。前中期戦略目標「Vision2020」のターゲットであった連結売上高2兆円は2022年度に、そして2025年度に連結売上高4兆円を達成する計画です(うち1兆円は新規M&Aによる)。車載事業の電気自動車用駆動モータシステム「E-Axle」に代表される高成長分野に事業ポートフォリオをシフトさせ、2030年度連結売上高10兆円達成につなげていきます。また「Vision2025」では数値目標のほかに「2040年度までのカーボンニュートラル宣言」を筆頭とするESG目標も新たに設定しました。ESG経営は日本電産のサステナビリティと成長力を決める中核的要素であり、変革を着実に進捗させていきます。

車載事業

 新中期戦略目標「Vision2025」の達成には、車載事業の高成長が不可欠となります。電気自動車用駆動モータシステム「E-Axle」の受注台数は、2025年度時点で350万台に達しており、今後も増加を見込んでいます。世界各国での環境規制強化を背景にEV市場は2030年代に年間数千万台規模の市場に拡大すると予想されており、新興EVメーカーの勃興や異業種からの参入、ファブレス生産の加速等、大きな構造変化が起きています。当社もEMS(電子機器の受託製造サービス)世界最大手である台湾の鴻海グループとの協業について検討を開始しており、自動車業界に起きている変化の大波を的確に捉え、事業の成長を更に加速させていきます。

ESG経営

 「ESG経営」は、日本電産のサステナブルな成長に重要な要素であり「Vision2025」の目標設定に組み込ませる形としました。その筆頭である気候変動対策については、①2040年度までに事業活動(Scope 1,2)をカーボンニュートラル化 ②サプライチェーン排出量(Scope 3)の削減計画を2025年度までに決定、という2つの目標を設定しました。また、人事制度では2020年度の評価制度の変更、ガバナンス体制については2020年6月の監査等委員会設置会社への移行や2021年2月の報酬委員会設置等をすでに実施しており、今後も着実に体制を整備していきます。

2021年12月

代表取締役社長執行役員(最高経営責任者)

代表取締役社長執行役員(最高経営責任者)の署名

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