2022年度特集 - 統合報告書2022

財務戦略

2030年度連結売上高10兆円の目標達成に向けて、各種施策を推進 常務執行役員 最高財務責任者 佐村 彰宣

2022年5月1日付でCFO(最高財務責任者)に就任した佐村 彰宣です。当社が2021年8月に買収した三菱重工工作機械株式会社(現:日本電産マシンツール株式会社)においてCFOを務めていましたが、今般、当社のCFOの職務を拝命することとなりました。今回は、1.資金調達についての考え方、2.グリーンボンド、3.サステナビリティ委員会設置の3点についてご説明します。

資金調達に関する考え方

当社は、2030年度連結売上高10兆円の目標達成に向けて、「Vision2025」では売上高4兆円を目標としています。そのうち、1兆円は新規買収による達成を見込んでいるため、事業成長に伴う設備投資・新規買収に伴う相応の資金需要の発生が想定されます。当社の資金調達に対する考え方は、グループ内でのCCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)短縮化を筆頭とする資金管理の徹底や営業キャッシュ・フローからの支出をベースとしています。資金調達が必要となった際には、必要金額や財務状況、株価および格付け、金融市場環境等を総合的に勘案しつつ、最適と考えられる手段での調達を選択する方針です。
資金調達においては、金融市場環境や格付を勘案し、その時点で最適な手段での調達を実行する方針です。FRB(連邦準備制度理事会)を筆頭とする海外中央銀行が利上げや金融緩和縮小へと舵を切っており、こういった金融市場の大きな変化を踏まえ、中長期の成長原資となる資金を年度ごとのキャッシュ・フロー想定、売上通貨と調達通貨のマッチングといったALM(Asset Liability Management)の観点を交えながら、「成長」と「財務規律」双方を意識し、直接金融と間接金融のバランス、調達年限等も考慮に入れた調達を検討していきます。直近では2022年7月に新規に円建て債券を発行しました※1

※1 発行条件 3年債:金額 300億円、クーポン0.250%、10年債:金額 200億円、クーポン0.549%

グリーンボンド

当社は、電気自動車(EV)向けトラクションモータの製造に関連する設備投資および研究開発費を資金使途として、2019年11月に円建てグリーンボンド1,000億円、2021年3月に国内事業会社初のユーロ建てグリーンボンド5億ユーロを発行しました。グリーンボンド市場は2021年にグローバルベースでの年間発行額が5,000億米ドルを上回っており、今後も拡大することが予想されます。
グリーンボンドの発行は「世界一高性能なモータで地球に貢献する」という当社の「使命」をサポートする重要な資金調達手段であると認識しています。今後も国内・海外金融市場におけるグリーンボンドの発行を含め、様々な資金調達が可能となるよう努めてまいります。

グリーンボンド発行状況

※2 当社グリーンボンドの詳細は以下をご参照ください。
https://www.nidec.com/jp/sustainability/environment/greenbond/

※3 製造したトラクションモータシステム(E-Axle)の年間販売台数は、以下をご参照ください。
https://www.nidec.com/jp/sustainability/environment/greenbond/-/media/www-nidec-com/sustainability/environment/greenbond/img/202111_EURO-GreenBondReporting_jp.pdf

※4 環境改善効果に関する指標は、電気自動車が走行する場合に想定されるCO2排出量と、ガソリン車が走行する場合に想定されるCO2排出量とを比較し、その差分をCO2排出削減量として算定しています。

※5 第三者評価機関によるアニュアルレビューは以下をご参照ください。
https://mstar-sustops-cdn-mainwebsite-s3.s3.amazonaws.com/docs/default-source/spos/nidec-corporation-green-bonds-2019-and-2021-annual-review-(2021)-japanese.pdf?sfvrsn=281ff10e_1

サステナビリティ委員会

当社は、ESG経営の推進を中期戦略目標の一つとして掲げています。2021年度には執行役員を中心とするESGマテリアリティSteering Committeeを立ち上げ、KPIをベースとした進捗管理や成果検証を毎月行う体制を構築しました。そして、「事業基盤である環境・社会と共存・繁栄する未来実現を目指す」サステナビリティ経営の推進の観点から、2022年8月より新たにサステナビリティ委員会を取締役会内に設置し、9月に活動を開始しました。2021年6月に改訂された「コーポレートガバナンス・コード」の補充原則4-2※6にも記載されている通り、サステナビリティ経営の推進は当社にとっても必須事項と認識しています。
サステナビリティ委員会は、ESGマテリアリティSteering Committeeのモニタリングおよび多様なステークホルダーの意見を経営に反映させる役割を果たすため、取締役5名(内、3名が社外取締役)の委員で構成されています。各委員は、人材開発、法務・コンプライアンス、財務・会計、国際性・グローバル経験、環境・社会、ガバナンス・リスク管理といった経験・専門性を備える多様性に富んだメンバーで構成しているため、多岐に渡る観点からの議論が期待できます。

※6 「取締役会は、中長期的な企業価値の向上の観点から、自社のサステナビリティを巡る取り組みについて基本的な方針を策定すべきである。また、人的資本・知的財産への投資等の重要性に鑑み、これらをはじめとする経営資源の配分や、事業ポートフォリオに関する戦略の実行が、企業の持続的な成長に資するよう、実効的に監督を行うべきである。」

イメージ図

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