株式会社 柏原歯車製作所 様

株式会社柏原歯車製作所様は、主に建設機械 に使われる 遊星減速機部品 をはじめ、自動車・農業機械などの歯車を製造されています。早くから省人化に取り組み、 24時間稼働可能な生産体制を確立。短納期で試作~量産立上げまでを実現する対応力を強みに、創業から72年 大阪の地で事業を営んでこられました。

柏原歯車製作所様では、当社製ホブ盤・シェービング盤を20台以上お使い頂いています。今回は長きに渡りご愛顧いただいている理由や感想をお伺いしました。

創業70年以上の技術力。自動化を強みに中ロット多品種を一貫生産

Q:昭和 27年創業ということで、 70年を超える歴史をお持ちですね

柏原社長 私の祖父が納屋に機械を置いて、父・叔父と共に家族経営で創業したと聞いています。最初の頃は紡績機械やトラクターの部品の旋盤加工をしていましたが、あるとき歯車の仕事を紹介されたことをきっかけに中古のホブ盤を購入。そこから歯車加工をスタートしました。
昭和40年代前半にはシェービング盤を導入して、農業機械の歯車加工もはじめました。オイルショックの頃に現在の場所(大阪府寝屋川市)へ移転し、徐々に工場を広げています。
現在は、主にパワーショベルなどに使われる油圧機器部品の遊星減速機用ギヤを中心に、様々な歯車を製造しています。

Q:工場では大半の機械が自動化されています。早くから省人化に注力されてきたのですね

柏原社長 30年以上前からガントリや簡易ローダを使って生産してきました。自動車向けの仕事もしていましたので、1ロットで月産数千~数万個にもなります。
要するに前工程からきたワークを歯切盤に載せるだけで完結できるようにしたかった訳です。そうすることで省人化にもなりますし、ワークに余計な傷を付けることもないという発想です。

大里リーダー ロボットは、シャフトを加工しているシェービング盤(FA30CNC)に FANUCのロボットを付けたのが最初だったと思います。 20年ほど前の話ですね。

左 大里リーダー様、右 柏原社長様

Q:会社運営で大事にされていることを教えてください

柏原社長 社員が「やりたい!」と思うことを実現できる環境をつくってあげたいと思っています。仕事はひとりではできません。無理をして体を壊して借金つくって …根性論には限界があります。今は生産技術・製造・品質保証にリーダーがいて、それぞれ責任を持って仕事をしてくれています。
あとはコミュニケーションですね。毎日朝礼で顔を見ることと、週1回は集まって話をしています。

大里リーダー 仲良くやっています。おもしろい社長でしょ。だからみんな付いてくるんだと思います。

技術課題に対して積極提案、そこから当社機のファンに

Q:当社のホブ盤をご愛顧頂くようになったきっかけを教えてください

柏原社長 25年ほど前、スプライン加工のバリに悩んでいました。自動車部品は面取り量の指定やちょっとした傷も NGです。人の手作業を極力なくしたい。面取り量のバラツキや品質のバラツキを減らしたい。この 2つを何とかできないかと思って三菱(現ニデックマシンツール 、以下同じ)の営業担当に相談しました。
そうしたら真剣に検討してくれて、ホブカッタ2個付けしたらできますよ、と提案してくれました。当然カッタの設計から必要ですけど「機械も工具もまとめて面倒みます」と。そこからずっと三菱さんのファンです。

ホブ盤GC20CNC(1995年製)

大里リーダー 建機部品で、スプラインと平歯車の歯切2か所加工が必要な長尺シャフトをやっていたとき、ワーク交換がしづらいという問題がありました。それも相談して、ワーク交換時に治具の切欠き部が必ず作業者側に向くようにカスタマイズしてもらいました。またホブカッタ2個付けの場合、ホブシフト(非加工時間)が長くかかってしまいます。それをちょっとでも短縮するために、 1サイクル目は上の歯 下の歯の順、 2サイクル目は下の歯 上の歯の順に加工するようなプログラムも提案してくれました。

柏原社長 今となっては普通ですけど、ホブカッタ 2個付けのコンビネーション加工は当時としては画期的でしたね。

Q:シェービング盤も多くお使い頂いていますね

柏原社長 自動車の四駆用オイルポンプギヤを、元々は古い汎用機で加工していました。しかし月産 45万個まで増産することに。そのタイミングでシェービング盤(FA30CNC)の自動化仕様の導入に踏み切りました。ところがいざ加工してみると、モジュール 4・歯数 9枚と精度出しが難しいワークで歯形が出ない …。そのときにシェービング加工を三菱さんに色々と教えてもらって、歯形改善に取り組みました。

大里リーダー これを機に、ある程度のロット数が見込める油圧機器の遊星ギヤも含めて一気にシェービング盤の自動化を進めました。最近のシェービング盤は自動化仕様になっていますが、一部、試作機・量産立上げ機として使用しています。

工場内にはシェービング盤FE30Aがずらりと並ぶ
ロボット+ストッカによる自動化仕様

Q:当社へのご評価はいかがでしょうか

大里リーダー 使い勝手では対話画面がすごいと思います。素人でもある程度勉強すれば使えるよう、わかりやすくなっています。納期も早くて良いですね。我々は1年先の仕事は見えないのでそんなに長くは待てません。それから切削工具も、他の工具メーカから断られる特殊なカッタにも対応してもらっています。

柏原社長 最近は特殊なギヤの問合せが増えています。欠歯だったり、左右歯面の圧力角が違ったり。そういう仕事がきたらすぐニデックさんに電話します。

現場では若手が活躍。1人で複数台を担当し効率よく生産している

対応はすごく早いです。我々町工場のような会社に対してもアフターサービスはしっかりしています。ニデックさんの営業やサービスの方との人間関係ですね。

大里リーダー サービスの方とは長年の付き合いでお互いのことが良くわかっているので、いつも適切なアドバイスをもらえていると思います。

特急品にも対応。困っているところに手を差し伸べたい

Q:歯車加工でこれから取り組みたい分野はありますか

柏原社長 ニデックさんに技術的なアドバイスをもらいながら、シェービングレスをやっていきたいですね。最近小モジュールが増えていますけど、我々としてはモジュール 4 ~ 6のギヤのシェービングレスができれば おもしろい。小歯数・高歯で精度が厳しい遊星減速機のサンギヤやドライブギヤなども、ホブ加工で仕上げられたらと思います。

Q:今後の事業についてお聞かせください

柏原社長 メインは「中ロット多品種」です。現在は月産10万個、年間600アイテム。材料から一貫生産で1~2万個のロット生産もできますが、一方で1個~の試作や賃加工にも対応しています。地域的な特徴として、歯だけ切ってほしいという飛び込み依頼も結構あるんです。近所の旋盤・マシニング加工屋さんから「ちょっとスプラインを切ってもらえませんか?」と。

大里リーダー ちょうど一昨日もシェーパ加工の飛び込み依頼があって、その日の夕方までに100個納品しました。こういう対応は自動化された設備だとできません。自動化を進めながらも手付機を残しているのは、こういった特急依頼に対応するためです。すぐに何とかしてあげようという思いがあります。

柏原社長 飛び込み依頼を出すということは、皆さんすごく困っておられるんだと思うんですよ。困っているところにこちらから手を差し伸べられるようなネットワークをこちらから広げていく必要があると思っています。

社長をはじめ従業員の皆さんの仕事に対する真摯な姿勢と、難しい仕事にも「おもしろい!」と取り組む前向きで明るい社風がとても印象的でした。30年以上に渡る当社への信頼とご期待を裏切らないよう、今後ともより良い製品・サービスをご提供できるよう尽力して参ります。

株式会社 柏原歯車製作所 基本情報

〒572-0819 大阪府寝屋川市大成町19番6号
TEL:072-823-0405
FAX:072-821-3432

ホームページ:https://www.kashihara-gear.net/

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