大丸鐵興株式会社 様

「面白いことに挑戦する」決断が切り拓いた金属3Dプリンター事業

2026年4月に開催された「Nidecものづくりオープンハウス」において、大丸鐵興株式会社 専務取締役(現 代表取締役社長) 太田吉彦様にご登壇いただき、「ユーザが語る!積層造形受託事業ご紹介」と題した講演を実施しました。

本記事では、同社がパウダDED方式3次元金属積層造形機「LAMDA」を活用して展開する積層造形受託事業の取り組みや活用事例、今後の展望についてご紹介します。

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事業概要

大丸鐵興株式会社(茨城県猿島郡)は1967年創立、従業員90名を擁する鋼板の大型一貫加工および自社ブランドのステンレス燃料タンク製造を手掛ける企業です。

同社の強みは、5000トンの深絞りプレスをはじめとする大型加工設備にあります。2018年からはニデックマシンツール製の門形マシニングセンタ「MVR」を順次導入し(現在3台稼働)、プレスから機械加工までを社内で一貫して行う体制を確立していました。そんな同社が2022年、それまでの技術基盤を活かし、未踏領域であった「3次元金属積層(AM)事業」へ参入しました。

導入背景:決め手は「それじゃ面白くない」

金属3Dプリンター導入の背景には、需要減少が見込まれる既存事業への強い危機感がありました。事業再構築補助金の活用を検討する中、社内では既存の機械加工設備を増強する案が多数を占めていました。

しかし会議に出席した全員の意見を聞いた社長が放ったのは、「それじゃ面白くないから、LAMDAにしよう」という一言でした。

このトップの直感と「面白いことに挑戦する」という決断により、大丸鐵興株式会社様のAMへの挑戦が幕を開けました。

事業立ち上げを後押しした「機械加工との親和性」

導入当初は「パウダーベッド方式とDED方式の違いすら分からない」という、文字通りのゼロスタートでした。同社では2D CADで部品図を作成していた事務スタッフ(現LAMDA担当・今村様)をAM担当として抜擢。肉盛り試験や試作品製作を繰り返しながら、積層造形技術の習得に取り組みました。

事業化までの道のりは決して平坦ではなく、導入後約2年間は受注獲得に苦戦。しかし、その後の成長を支えたのは、既存の機械加工事業との高い親和性でした。

操作面での親和性(FANUC制御)

LAMDAにはFANUC製NC装置が搭載されています。同社ではすでにMVRを運用していたことから操作体系への馴染みも早く、スムーズに技術習得を進めることができたといいます。

後加工としての切削加工ノウハウ

金属3Dプリンターで造形した部品は、そのままで製品として完成するわけではなく、後工程として切削加工が必要となるケースが少なくありません。大丸鐵興株式会社様では、LAMDAによる積層造形と、これまで培ってきた機械加工のノウハウとのシナジーを実感しているといいます。

導入から3年で20社以上の新規顧客を開拓

継続的な技術開発と営業活動の結果、同社のAM事業は大きく成長しました。現在では、自動車メーカーや重工業メーカー、建機メーカー、材料メーカーなど幅広い業界との取引を実現。新規取引先は20社を超えています。また、公設試験研究機関や大学との共同研究も進み、産学官連携の取り組みも広がっています。

同社の強みは、技術力だけではありません。顧客からの相談、打ち合わせ、秘密保持契約(NDA)の締結を経て、最短2週間で受注に至るスピード対応も高く評価されています。

実体験から生まれた立ち上げ支援サービス「DSIT'S」

大丸鐵興株式会社様のもう一つの特徴が、金属3Dプリンター導入企業向けの立ち上げ支援サービス「DSIT'S」です。

同社自身がゼロからAM事業を立ち上げた経験を持つからこそ、導入企業が直面する課題を熟知しています。「中小企業が単独でAM事業を立ち上げるのは非常に難しい」という実感から生まれたのが、実務に寄り添う伴走型支援です。

1. 受け入れ研修

機械納入までの期間を活用し、導入企業の担当者が大丸鐵興株式会社様の工場で実機研修を受講。納入前から操作スキルを習得できます。

2. 立ち上げ伴走支援

条件出しや試験片製作、量産体制構築まで、実際の運用ノウハウを共有しながら立ち上げを支援します。

3. ISO・生産性向上支援

ISO取得支援をはじめ、補助金活用やAIによる生産性向上など、経営面・運用面からもサポートを提供します。

こうした支援により、導入企業はリスクを抑えながら早期に事業化を進めることが可能になります。

今後の展望

大丸鐵興株式会社様では、さらなる事業拡大に向けて、大型機種「LAMDA500」の導入を決定しています。造形能力を強化することで、より大型かつ高付加価値な案件への対応を進めるとともに、宇宙分野や自社製品開発への展開も視野に入れています。

また、人材採用においても金属3Dプリンター事業を前面に打ち出し、次世代を担う技術者の育成を推進しています。

講演の最後に太田様は、「ユーザ同士で力を合わせ、日本の金属3D事業をもっと盛り上げていきたい」と語られました。

金属3Dプリンターは単なる設備導入ではなく、新たな市場や人材、そして事業機会を生み出す可能性を秘めています。大丸鐵興株式会社様の挑戦は、その可能性を示すモデルケースといえるでしょう。

大丸鐵興株式会社

〒306-0432 茨城県猿島郡境町下小橋867-8

ホームページ:https://www.daimaru-tekko.co.jp/

お使いの製品

  1. パウダDED方式3次元金属積層造形機 LAMDA

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