株式会社明楽 様
試作から実用へ。株式会社明楽が示す金属積層造形の「今」
2026年4月に開催された「Nidecものづくりオープンハウス」において、工作機械の組立から精密金属加工までを一貫して手掛ける株式会社明楽AM技術開発プロジェクトチームの木下明大様にご登壇いただき、「ユーザが語る!積層造形受託事業ご紹介」と題した講演を実施しました。
本記事では、同社がパウダDED方式3次元金属積層造形機「LAMDA」を活用して展開する積層造形受託事業の取り組みや活用事例、今後の展望をご紹介します。
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事業概要
株式会社明楽(本社:三重県員弁郡東員町)は、工作機械の組立・修理から精密金属加工までを幅広く手掛ける技術集団です。同社は以下の3つの拠点を軸に事業を展開しています。
- 本社事業所(加工部・AM技術開発センター): 金属精密切削・研削加工、金属積層の試作・受託サービス
- いなべ事業所(組立部): 工作機械の組立・出荷・据え付け
- 美濃加茂事業所(組立部): 工作機械の組立・分解修理、板金溶接
同社は2025年4月、本社工場の敷地内に「AM技術開発センター」を新設し、金属積層の試作・受託サービスという新たな事業をスタートさせました。長年培ってきた工作機械の知識と金属加工のノウハウをAM技術と融合させることで、高付加価値なものづくりを提供しています。
導入背景:切削加工の強みを活かす「ハイブリッド」への戦略的投資
明楽様が積層造形受託事業に取り組むにあたり、ニデックマシンツールの「LAMDA」シリーズから大型・小型の2台を導入した背景には、以下の狙いがありました。
積層と切削を1台で完結させるハイブリッド仕様
導入した「LAMDA2000」は、五面加工機としての切削機能に加え、積層ヘッドを搭載しています。積層後、そのまま仕上げ工程として切削加工を行えるため、同社が得意とする精密加工技術をそのままAM事業に直結させることが可能となりました。
多様なサイズ・複雑形状への柔軟な対応
大型部品に対応する「LAMDA2000」(対応サイズ:3000 × 1500 × 1100 mm、積層範囲は最大3mまで)に加え、5軸制御テーブル(対応サイズ:φ80 × 200 mm)を備えたコンパクトな「LAMDA200」も同時に導入。お客様から依頼される部品のサイズや形状に応じて、最適な機種を選択できる体制を構築しました。
「LAMDA」を活用した事業運営の強み
未知の材料にも挑戦する開発スタンス
パウダDED方式の強みである「使用できる粉末材料の多様性」を最大限に活かし、同社は導入から約1年間で12種類(SPM30、PI718、CuCr合金、チタン合金など)もの粉末による造形実績を築きました。「この粉末で積層できるか試してほしい」というお客様の要望に対し、積極的にテスト造形を引き受ける挑戦的なスタイルが、多くの顧客から支持されています。
検査機関との連携による強度データの裏付け
積層造形部品を採用する際にお客様が最も懸念される「機械的強度」について、同社では外部の専門検査機関(株式会社キグチテクニクス)と密に連携。熱処理前後での引張強度試験など、豊富な実験データを蓄積してパンフレット等で開示しています。これにより、受託した部品の品質をデータに基づいて裏付けています。
適用事例:プレス金型補修と高難度な「銅」積層
パウダDED方式の特性と加工ノウハウを活かし、明楽様が実現した具体的なソリューション事例です。
1. プレス金型の刃先補修(溶接技術者不足の解消と安定した長寿命化)
SLD-MAGIC製品への補修(SPM30/ハイス鋼粉末を使用)
金型刃先の割れや摩耗に対し、LAMDAを用いて肉盛り補修を実施。従来の手溶接補修では、作業者の熟練度によって寿命にバラつき(1万〜5万ショット)が出ていましたが、LAMDAによる精密な入熱制御により、3万ショットを達成した時点でもエッジのシャープな形状を維持。職人の技能差に左右されない安定した長寿命化を実現しました。
DCMX製品(焼き入れ鋼)への補修
手作業による溶接補修では1万ショット未満で摩耗が発生していた難易度の高い焼き入れ鋼に対し、LAMDAで入熱量を抑えた補修を実施しました。その結果、9万ショットを超えても大きな摩耗は見られず、現在も継続して使用されています。
2. 同社の真骨頂:難易度が高いとされる「銅」の積層技術
一般的に銅はレーザー光を反射しやすく、さらに熱伝導率が高いため熱が逃げて積層面がだれてしまい、DED方式での積層は非常に難しいとされています。しかし、明楽様は緻密なCAD/CAMによるパス出しや条件設定の工夫により、銅積層を大きな「強み」として確立しました。
今後の展望
現在は、補修を繰り返した際の繰り返し精度の検証や、新品材のみで製作した部品と補修品との寿命比較など、さらなる実証データの収集を進めています。こうした検証を積み重ねることで、パウダDED方式を活用した補修が、新品以上の付加価値を生み出す可能性にも期待が寄せられています。
講演の最後に木下様は次のように締めくくられました。
「弊社の本社工場では、LAMDAによる最先端の金属積層だけでなく、門形五面加工機『MVR』が実際に動いている様子も含めて、積層から仕上げ加工までの全工程を見学していただけます。また、DEDで最も重要となる『材料の条件出し』を行う設備もご覧いただけます。
『金属積層を使って新しい製品を作りたい』という開発のご相談はもちろん、『自社へのLAMDA導入を検討しているが、周辺設備やノウハウを知りたい』という方も大歓迎です。ぜひ一度、お気軽に見学へお越しください」
金属積層造形の「今」を体感し、自社の課題解決へのヒントを見つけるために、ぜひ株式会社明楽のAM技術開発センターへ足を運んでみてはいかがでしょうか。
株式会社明楽 AM技術開発センター
〒 511-0253 三重県員弁郡東員町大字筑紫265
ホームページ:https://www.meiraku.net/
お使いの製品
- ・パウダDED方式3次元金属積層造形機 LAMDA