EVの普及により、
ついにモータが車社会の主役に。
そのとき日本電産は?
そして、次なる構想とは?

EV/スマートモビリティ分野への挑戦

自動車はモータで走る時代へ Motors bring a new era for cars.

自動車はモータで走る時代へイメージ

地球温暖化の対策として、2016年に発効された「パリ協定」では、世界の平均気温上昇を産業革命前と比べて2℃以内に抑えるため、温室効果ガス(CO2など)の排出を削減し続け、21世紀後半には排出量を実質ゼロにするという目標が定められました。このパリ協定発行後、欧州を筆頭に、さまざまな国がガソリン車の生産・販売規制を発表しています。そして、ガソリン車の代替として期待されているのが電気自動車(EV)。つまり、これからの自動車は、モータで走るということです。

すでに、自動車にはさまざま部位でモータが使われており、その数は、自動車1台あたりで優に100を越えています。日本電産でも、電動パワステ用モータ、デュアルクラッチ用モータ、エンジン冷却用モータなど幅広い車載用モータを製造しており、それらのいくつかで世界No.1のシェアを獲得していますが、今後は、“EVの心臓部”である駆動用モータ(トラクションモータ)でも高いシェア獲得を狙っていきます。

「やはり、EVの心臓部であるトラクションモータを手がけずして車載用モータを作っているとは言えないでしょう。EVにとってトラクションモータは、ガソリン車のエンジンに相当する最重要部品。それを供給することは、日本電産が自動車を動かすということです」(日本電産 早舩)。

このトラクションモータ事業の参入により、日本電産は「走る」(=トラクションモータ)、「曲がる」(=パワステ用モータなど)、「止まる」(=ブレーキ用モータなど)という自動車の根幹となる機能+ドライブの「快適・安全を実現する」(=ヘッドライト・シート・ドアミラー用モータなど)という機能、すべてを担うことになるのです。

困難を克服して生まれた
トラクションモータシステム「E-Axle」 The "E-Axle"—pushing the limits of technology

困難を克服して生まれたトラクションモータシステム「E-Axle」イメージ

2019年5月、日本電産のトラクションモータシステム「E-Axle」が、中国の自動車メーカー・広州汽車の量産 EV「Aion S」に採用されました。

「E-Axle」とは、自動車の駆動用モータとインバータ、ギアを一体化したシステム製品です。自動車の駆動に必要なものが最初から一体になっているので、これを車台に付ければそのまま走ることができます。しかも、一体化によって非常にコンパクトかつ軽量になり、車輌レイアウトの柔軟性も高まります。

「実は昔から、モータ、インバータ、ギアを一体にするという発想はありましたが、繊細な電子部品であるインバータと回転により振動を生むモータを一体化するのは技術的に難しく、なかなか実現していませんでした。この難しい開発が、日本電産と日本電産エレシス、日本電産トーソクという専門分野の異なるグループ3社の力を結集することで実現したのです」と早舩。日本電産はモータとギア、日本電産エレシスはインバータを、パワートレインに強い日本電産トーソクはシステム全体の取りまとめ役という役割分担。まさに日本電産グループの総合力のなせる業と言えるでしょう。

現在、「E-Axle」は150kWモデルのみ量産を行っていますが、2020年10月には100kWモデルを、2021年には70kWモデルの3機種にラインアップを拡充する計画です。さらに、中国浙江省にある平湖工業圏に世界最大のトラクションモータ工場を備えるなど、対応車種・生産能力ともに、グローバル市場でのほとんどのニーズをカバーできる体制を整えていきます。

すべての自動運転のベースとなるセンサ技術 Sensor technology realizing autonomous driving

すべての自動運転のベースとなるセンサ技術イメージ

温暖化対策と並ぶ自動車業界の課題が、より安全・安心な車社会の実現です。現在、その実現に向けて世界中で自動運転の技術開発が進んでいます。

日本電産グループは、2017年9月に世界最小ADASセンサ「新型センサフュージョン」を発表しました。競争が激化するこの分野において、先進システム研究開発センターでは、自動車の電子制御分野で培った高度な技術ノウハウと日本電産グループの保有する幅広い要素技術の融合により、高い競争力を持った自動運転技術の開発に取り組んでいます。

日本電産グループが開発した新型センサフュージョンの最大の特長は「単眼カメラ」と「ミリ波レーダ」という2種類のセンサを一体化したことです。これにより両方の強みを融合させた高度なセンシングを実現しました。対向車のヘッドライトや、「進入禁止」などの交通標識の認識には、画像で解析するカメラが向いています。一方、対象物との距離や速度などは、電波で測定するレーダのほうが高い精度で検知できます。このように2つのセンサが役割分担し、さまざまなデータを融合させることで、より最適な情報が得られるのです。
※ADAS…Advanced Driver Assistance Systemの略。先進運転支援システム。

また、これらセンシング技術の進化にあわせて、アンテナの進化も進んでいます。2019年4月には新型アンテナを発表しました。従来のパッチアンテナと比べて、アンテナ効率、性能安定性などが大きく向上した新型アンテナは、5G用アンテナとしてコネクティッドカー拡大への貢献が期待できるだけでなく、基地局用としても有用なため、今後5G基地局用として通信ベンダー向けの製品にも展開していく予定です。

リアルミニ四駆の時代がやって来る The world of “Mini 4WD” becomes reality

リアルミニ四駆の時代がやって来るイメージ

日本電産は2019年4月、2025年をめどにEV用プラットフォーム(車台)事業に参入すると発表しました。「EV化にともない自動車自体の部品点数が減っていくなかで、多くの自動車用部品を手がける日本電産としてはプラットフォーム事業によってビジネスを広げる狙いもあります」(日本電産 早舩)。

日本電産グループで扱うトラクションモータシステムやセンサ、その他、ステアリングやブレーキシステムなどと組み合わせ、グループで手がけていないバッテリーシステムなどは他社と協業しつつ生産していく計画で、これにより自動車業界への参入を考える企業や新興のEVメーカーでも、このプラットフォームを購入し、ボディやシート、インパネなどを載せるだけで完成車として販売できるようになります。

まるで、かつて流行したミニ四駆のように実際の自動車が組み立てられる時代を日本電産がつくっていくのです。