事業等のリスク

NIDECの経営成績、株価、財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、次のようなものがあります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてNIDECが判断したものであります。

1.経営戦略リスク

(1)政治・経済状況の変動に係るリスク(特に重要なリスク)

NIDECの製品及びNIDECの製品を搭載した製品は主に中国を主とするアジア、米国、欧州及び日本で生産、消費さ れており、これらの国または地域の予期せぬ景気変動、政治・政策動向は、NIDECの製品需要や生産状況に悪影響を 及ぼす可能性があります。特にNIDECの製品はパーソナルコンピュータ(以下、「PC」)や家電、自動車等の最終製 品に組み込まれているため消費動向に左右され、一般消費水準の減退はNIDECの売上に悪影響を与える可能性があり ます。同様に、製造部門における設備投資の水準は景気動向によって左右され、設備投資水準の減退がNIDECの産業 用製品に係る売上に悪影響を及ぼす恐れがあります。今後経済環境の悪化が進んだ場合、NIDECの事業、経営成績、 財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。 2019年度は中国経済の減速と米中貿易摩擦に起因する自動車需要の減速や設備投資の減少が、一部NIDEC製品の需 要減に繋がりました。NIDECは世界40ヵ国以上に事業を展開しており、車載を中心とした戦略的製品については生産 拠点の国際分散体制を敷き、並行生産を強化すると同時にサプライチェーンの上流に位置する重要工程の把握に努 めています。米中貿易摩擦に対する関税リスク軽減策としては、米国向けの車載用や家電用の一部モータの生産を 中国からメキシコに移管しました。

(2)ハード・ディスク・ドライブ市場が依然として重要であるリスク(特に重要なリスク)

HDD用モータ事業は当社の収益基盤を支える重要な事業であり、当社の収益の重要な割合を占めています。 クラウドコンピューティングの定着に従い、PC等の端末におけるストレージ需要においてはHDDからSSDへ置き換 えが進んでおり、これがHDD用モータの需要低下要因となっております。一方で大量のデータを保存するデータセン ターのサーバーなどではHDDが使われており、今後データ量の増加に伴いサーバー向けのHDD数量は増加傾向にあり ます。しかし、同HDD、延いてはNIDECのHDD用モータへの需要はデータセンターを設立する顧客の設備投資動向に左 右されるため、想定より顧客の設備投資が減速した場合に、NIDECの受注台数に影響を及ぼす可能性があります。対 策として、HDDメーカー全ての主要サプライヤーとしてHDDモータ市場における高シェア維持だけでなく、数量基準 の価格体系構築を行います。 。

(3)競合に係るリスク(特に重要なリスク)

NIDECは事業を行う様々な市場で激しい競争にさらされております。特に車載、家電市場においては、新興国の地 場メーカーの台頭で競争が激化する傾向があります。市場で競争力を高めるため、NIDECは研究開発分野への多額な 投資の維持・増強、製造能力・販売力・マーケティング力の拡大、サービス力とサポート源の拡大、タイムリーな 新製品の開発、既存製品の更なる改善を実施していく必要があると考えております。また、利益性を確保するため のコスト削減活動もNIDECにとって必要です。 NIDECは次のような場合に、市場における競争力が低下したり収益力を損なう可能性があります。

・市場がNIDECの予測を超える速度で発展した結果、需要拡大等の市場変化への対応において競合他社がNIDECの 能力を上回った場合
・NIDECのコスト削減活動が、市場販売価格の減少や原材料費の上昇による悪影響を吸収するには不十分となった 場合
・競合他社が技術革新、製造効率の改善または研究開発能力の強化を行った結果、NIDECの製品や技術が陳腐化し た場合
・NIDECの競合企業同士の合併によりNIDECの競争力が相対的に弱まった場合
例えば現在、EV用トラクションモータシステムに関してNIDECの主な市場は中国です。中国は国策により自動車の EV化を推進しており、現在世界最大のEV市場を擁しています。NIDECは現在、EVのエンジンに相当するトラクション モータを重要な戦略製品と位置付けており、コスト競争力と開発スピードに優れる地場メーカーの台頭により同市 場における競争力を失うと、NIDECの成長戦略全体に重大な影響が及ぶ可能性があります。対策として、同市場にお ける影響力が大きい中国企業との提携を強化しています。EV用トラクションモータシステムに関しては、同国の有 力自動車メーカーである広州汽車グループと提携を結びました。

(4)先行投資に係るリスク(特に重要なリスク)

NIDECは需要の拡大を予想した場合、受注に先駆けて生産設備を拡張することがあります。従って需要が生産能力 を下回ると、稼動損による償却負担の増加または過剰在庫による棚卸資産の評価減が収益を圧迫する可能性があり ます。例えば、急速な市場規模拡大が予想されるEV用トラクションモータシステムの生産工場が既に中国浙江省で 稼働しており、今後は中国遼寧省、メキシコ、ポーランドにも工場を建設する予定です。しかし、競合他社の開 発・市場参入動向、最終製品の需要動向の変化により、当初予想した受注量を確保できない場合には、NIDECの経営 成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。 更に工場に導入した設備が急速な技術革新によって陳腐化や用途変更が発生した場合には、現在の見積耐用年数 を短縮させる必要性が生じ、連結会計期間あたりの償却負担が増加する可能性があります。他方、もしNIDECが需要 を過小に見積もり必要な設備投資を行わなかった場合、顧客の需要を満たせずにシェアを失う可能性があります。 また、部品や材料を調達する際のリードタイムを考慮してサプライヤーへ材料を先行注文することがあるため、 実際の受注数量が予想に満たない場合は過剰在庫が生じ予期せぬ棚卸資産の評価減を招く可能性があります。

(5)M&Aに係るリスク(特に重要なリスク)

NIDECは事業の成長に必要な技術、製品、販売網、顧客基盤を所有する他社の買収や他社への資本提携を通じて大 幅な成長を達成してまいりました。買収や投資活動を継続的に成功させることは、NIDECの事業戦略を達成する上で 極めて重要な要素です。そして車載事業を中心とした技術・商流の獲得が益々重要度を増しています。車載事業の 中でも特にEV用トラクションモータシステムは今後の成長の柱となることが大きく期待されますが、同製品の需要 はEVの普及ペースに大きく左右されます。 さらに新市場への参入であるがゆえに今後の市場規模拡大スピードの変化点を予測するのが困難で、 適切な買収のタイミング、価格の妥当性を精査するにあたって経験則が通用しません。 また、NIDECの買収や出資活動が成就しなかった場合、NIDECの製品ラインナップ、販売網、顧客基盤の拡大計画 が停滞したり、成長率が低下したりする可能性があります。買収や資本提携を成功させるためには、買収した事業 の効率的な統合が重要です。しかし、買収した事業がNIDECの予想どおりに収益を生むという確証はありません。 NIDECは今後の買収や資本提携を成功させるために必要な条件を次のように考えております。

・買収対象企業の正確な事前調査(各種デューデリジェンス)
・事前調査の過程でNIDECに悪影響を与える買収対象企業の負債を特定する能力
・買収した事業に係る製品を製造・販売する能力及び買収した事業に係る技術を既存技術と統合して新製品を開 発する能力
・買収した事業の経営、製品、社員に関するNIDECの統合能力
・買収した事業におけるキーパーソンの保持
・買収した事業における財務面や経営面でのNIDECの管理能力
・買収した事業からの報告体制及び買収した事業の法令遵守体制の整備

こうした買収、出資活動はNIDECの事業に重要な影響を与え得る不確定要素です。例えば、出資先企業の業績が悪 化した場合、投資価値が毀損する可能性があります。出資先企業が拠点を置く国の政府による経済政策、法律、規 制、または会計基準の変更が出資先企業に適用されることでNIDECの業績へ多大な影響が及ぶ可能性があります。 買収や出資の効果が得られないか、または適切な買収や出資の対象会社を見つけることができない場合、そのこ とがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、NIDECは、買収に伴い取得した多額ののれん及び無形資産を計上しており、当連結会計年度末現在、のれん 及び無形資産はそれぞれ、3,563億円及び1,393億円計上しております。NIDECは、これらの資産については、買収し た事業の効率的な統合により得られる将来の収益力を適切に反映したものと考えておりますが、事業環境の悪化等 により予想どおりの収益が得られないと判断された場合、NIDECはこれらの資産について減損を認識しなければなら ず、NIDECの経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(6)法令・規制に係るリスク

NIDECの事業は、事業運営を行っている国内外における法令、規制、政策、行動規範、会計基準等の変更や解釈の 差異、適用誤りに起因するコンプライアンスリスクを負っており、製品ラインナップの拡充またはビジネスの地理 的拡大により、NIDECは各種産業、市場及び行政地区特有のリスクにさらされることになります。よって、NIDECの リスク管理体制によっても、これらのコンプライアンスに完全に対処することができない可能性があります。 NIDECは日本、アジア、北米、欧州、その他地域の環境法令を遵守しております。これら環境法令は大気汚染、水 質汚濁、危険物質の対応、水質管理、リサイクル、温暖化防止、土壌及び地下水の汚染等に関連する規則を含みま す。 NIDECの事業の多くは環境法令に基づく営業許可を必要とし、それにより製造活動は制約され、法令遵守のための 費用が発生します。こうした環境法令は当局により修正、改定、廃止される可能性があります。これらの法令が厳 格化することにより環境法令の継続的遵守に必要な投資やその他の支出が増加したり、事業の見直しを行う必要が 生じ、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に深刻な影響を及ぼす可能性があります。 また、NIDECの事業は国内外において独占禁止法、贈賄防止条約、反テロ法、知的財産権、消費者保護法、税法、 輸出規制、関税法、海外貿易規制及び為替規制等の取引規制や市場規制を遵守する必要があります。NIDECは精密小 型モータ市場における世界シェアが高いため、特に同市場の売上や製造に影響する規制、行政措置がNIDECの事業、 経営成績、財政状態に深刻な影響を及ぼす可能性があります。更に、我々は新規市場開拓を行い続けており、法令 遵守体制をより強化する必要があります。NIDECは東京証券取引所に上場しているため、金融商品取引法その他法令 の適用を受け、財務報告の適正性の遵守が求められます。NIDECは、事業成長に伴い、業務拡大を継続しており、財 務報告の適正性に関する法令遵守体制をより強化する必要があります。これら規制を遵守できない場合、その結果 生じる罰金、社会的制裁、信用毀損、営業停止、更には営業許可の剥奪がNIDECの事業に深刻な影響を及ぼす可能性 があります。 こうした法律、規制、政策、自主行動規範、会計基準等の変更及びその影響を予測することは困難であり、新た な遵守体制整備のために追加的な財務、管理、人的資源が必要になる可能性があります。

2.事業運営リスク

(1)高度な専門性を有した人材の採用・保持に係るリスク(特に重要なリスク)

NIDECの事業は、代替することが非常に困難な多数の上層部経営者、エンジニア等の継続的な雇用に依存しており ます。技術革新の大波が押し寄せ、その波に乗れるかどうかの瀬戸際である昨今、NIDECはAI、IoT等の新市場に対 する高い知見を持つ人材、大多数の高度なスキルを持つ人材を追加雇用し、育成し、意識統一し、そして活用する 体制づくりを進めていく必要があります。世界的にこのような人材の獲得競争は極めて激しいため、NIDECがこのよ うな追加の人材を引き付けることが出来ない場合は、技術革新の大波に乗れる機会を失う可能性があります。

(2)研究開発に係るリスク

NIDECは基礎研究、新製品開発、製品改良、生産工程の改善等を研究開発活動として継続的に行っております。 NIDECが製品を提供する市場では継続的に急速な技術革新が起きており、製品の性能や納期に関する顧客からの要求 は今後も高まり続けると予想されます。そのような市場環境下で、NIDECの成功の成否は、顧客の要求をタイムリー かつ効果的に満たせるような、より優れた技術、製品、生産工程を開発し続けることができるかどうかにかかって います。もしNIDECが、市場動向を正確に予測できなかったり、適時に効果的な研究開発活動を実施できず、他社 が、NIDECより優れた技術、製品、生産工程を開発すれば、NIDECの製品は陳腐化し、販売シェアが縮小すると同時 に、新製品の事業及び市場の拡大が妨げられることになります。そのような変化を的確に予測し、求められる技術、 製品、生産工程の開発をタイムリーに行うことは非常に困難です。特に基礎研究については、研究活動の方向性を 定めることには一層の困難を伴うため、研究開発に要した費用を回収することへの不確実性が高いと考えられま す。研究開発活動がうまく成果を出すことができなければ、NIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可 能性があります。

(3)製品の品質に係るリスク

NIDECは最先端のモータやその他の電気製品を製造しており、事業活動を行う上でNIDECの製品に欠陥がある、も しくは欠陥の疑いがあることを理由として、保証や製造責任を訴訟で問われる可能性があります。特に、NIDECの製 品が組み込まれている最終製品が万一大量に故障した場合、消費者からの苦情、不良品の回収、更に損害賠償請求 訴訟等が起こり得ます。事業拡大を試みている車載及び家電・商業・産業用モータ及びその他の部品の市場では、 安全で高品質な製品を提供できない場合、深刻な物損や人命に係る事故へ繋がる可能性があり、法令上のリコール が適用される他、社会的要請としても特に高い安全性が要求されます。このような問題がNIDECの作る製品を原因と して発生すれば、ブランドイメージの悪化、行政処分、顧客からの重大な法的要求や顧客との紛争につながる恐れ があり、その結果販売の落込み及び不良品回収等の損失費用によりNIDECの経営成績が悪影響を受ける可能性があり ます。更に、訴訟に伴う人的・財務的負担が正確な経営判断の阻害要因となる可能性があります。 NIDECは損害賠償請求訴訟等に備え、保険を付しておりますが、これらの保険では対応しきれない賠償請求が将来 的に発生する、またはNIDECの希望どおりに保険が適用されない可能性があります。保険の適用範囲を超える賠償請 求や、大規模な製品回収が発生した場合、NIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4)原材料・部品調達に係るリスク

NIDECは製品の製造に必要な原材料及び部品の多くを外部から調達しております。これら原材料、組立部品の価格 が高騰して所要量を充足できない場合、NIDECの生産能力が制限されます。 また、原材料の種類や部品の使用条件等に関わる各国政府の政策変化がNIDECの原材料・部品調達能力を制約する ことがあります。諸要因により原材料や部品の調達余地が制限された場合、NIDECは代替材料を提供するサプライヤ ーの確保及び当該原材料・部品の使用量低減を可能にする設計及び開発への投資を行いますが、調達資材の質的・ 量的不足が長期間に及ぶとNIDECの生産活動が遅滞し、NIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響が及ぶ可能性が あります。

(5)海外拠点での事業活動に係るリスク

NIDECは事業活動の相当部分を米国、欧州及び中国を含むその他地域で行っております。NIDECは海外生産比率が 圧倒的に高い為、こうした海外市場で事業を行う際には、例えば以下のような特有のリスクがあります。

・海外市場における関係産業の景気悪化または沈滞
・国際通貨の変動
・中国、東南アジア等における労働力不足や労働紛争、賃金水準の上昇
・政治不安
・貿易規制や関税の変更
・グローバルな経営活動を行える人材の確保の困難
・一般的に長期の債権回収期間
・不利に取り扱われる恐れのある税制
・文化、商習慣の相違
・投資効果の実現までに要する長い期間と多額の資金

(6)知的財産権に係る訴訟リスク

NIDECは自社技術及びその他の知的財産を、特許権、商標権、著作権及びその他の知的財産権、更には機密管理や 個別契約により保護しております。NIDECはこれらの知的財産権に関して次のようなリスクを負っております。

・NIDECは第三者からの知的財産権侵害の主張に対して反論をしていくためコストが必要になる場合があります。 また、当該主張の結果、予め認識していない第三者の知的財産権を利用してしまったことによりNIDECに賠償責 任が発生する場合や、差止命令によりNIDECの事業の継続が妨げられる場合があります。その結果、そのことが NIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
・NIDECの知的財産権の保護対策は十分でない可能性があります。
・NIDECより大規模な資源を有する競合他社を含むその他の企業が、独自に技術を開発するか、または優越する技 術を獲得した場合、NIDECはこれら企業の知的財産を使用するためのロイヤリティを支払わなければならなくな る可能性があります。
・現行または将来の特許出願に関して、特許権を取得できなかったり、NIDEC自身が保有するまたは使用を許諾さ れている特許が無効になったり回避されたりすることで技術戦略上困難な状況に陥る可能性があります。
・特定の特許権の下で認められている権利では、NIDECに競争上の優位をもたらさない可能性や、適切に保護され ない可能性、技術力の維持に繋がらない可能性があります。
・第三者による特許、重要な営業秘密、その他の知的財産権に関する侵害や無断使用に対して提起する訴訟に伴 い多大なコストが必要になる可能性があります。
・NIDECの製品を製造及び販売している諸外国の法律が、NIDECの製品や知的財産権を、日本の法律と同じ範囲で 保護していない場合や、法律が存在したとしても効果的に施行されていない可能性があります。

(7)情報の流出に係るリスク

NIDECは事業活動において顧客、他企業の機密情報及び取引先関係者、従業員の個人情報を保有しております。 NIDECはこれらの機密情報に関してセキュリティ対策を行っておりますが、同情報が人的及び技術的な過失や違法ま たは不正なアクセス等により漏洩した場合、機密情報を保護できなかったために発生する責任や規制措置の対象と なる可能性があり、NIDECは競争上の優位性を喪失し、顧客や市場の信頼が失われ、そのことがNIDECの事業、経営 成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。加えてNIDECの営業活動やシステム、ブランドイメージに対す る社会的信頼を落とすことになります。 これらの対策として、NIDECは情報セキュリティ管理室を発足しました。それに伴い、情報セキュリティ委員会 や、各組織に情報セキュリティ管理責任者や情報セキュリティ推進責任者を設置し、グループ横断のセキュリティ 管理体制を構築しています。

(8)年金制度に係るリスク

NIDECの一部では、一定の要件を満たす従業員のための確定給付年金制度と確定拠出年金制度を併用している会社 があります。特に、確定給付年金制度に関しては、年金資産の公正価値や年金資産の収益率が下落した場合、また は、退職給付債務の計算の基礎となる想定値が変動した場合、損失が発生する可能性があります。また将来、既存 の年金制度を変更し、従来は認識していない勤務費用が発生する可能性があります。そして、利率の変動、NIDECを とりまく環境の変化やその他の要因により、年金資産の積立状況等に悪影響を与える可能性があります。更に、将 来の年金費用の計算に使用される想定値も変動する可能性があります。

(9)為替に係るリスク

NIDECの海外への売上の大部分は日本円以外の米国ドル、ユーロ、中国元、タイバーツ等の通貨で構成されてお り、各通貨に対する円の上昇は一般的に、NIDECの売上、営業利益、当期利益に悪影響を及ぼします。このリスクを 軽減するため、売上と仕入の通貨を合わせることにより為替リスクの軽減に取り組んでおります。例えば、もしあ る製品の売上が米国ドル建てであれば、この製品の生産に使用する材料や資源の購入を米国ドル建てで購入するよ うにしております。それでもなお、NIDECは為替リスクにさらされています。 加えて、日本円以外の通貨で運営している子会社の業績を連結財務諸表として統合した際、為替変動が大きく影 響する可能性があります。

(10)金利の変動に係るリスク

NIDECは固定利率と変動利率の長期債権や有利子負債を保有しており、それらの金利変動やキャッシュ・フロー増 減リスクを防ぐため、金利スワップや他の契約を締結することがあります。その場合、ヘッジされていない部分に 関して、支払利息や受取利息、金融資産・負債の価値に影響する金利の変動リスクにさらされる可能性がありま す。

(11)資金の流動性に係るリスク

NIDECは自社の資本支出やM&Aに関する資金を金融機関からの借入や金融市場からの直接調達に依存しておりま す。金融市況の変化やその他の要因により金融機関が貸付枠、信用供与枠額や条件を圧縮した場合、またはNIDECが それまでと同等またはより良い条件で取引可能な代替的資金調達源を見つけることができない場合、そのことが NIDECの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。更に、NIDECの財政状態が悪化した結果、信用格付機関がNIDECの 信用格付けを大幅に引下げた場合や経済状況の後退により投資家の意欲が減少した場合、NIDECが必要な資金を必要 な時期に、希望する条件で調達できない可能性があり、資金調達がより制限されるとともに、資金繰り費用が大幅 に増加する可能性があります。この場合、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性が あります。

(12)繰延税金資産の不確実性に係るリスク

NIDECは繰延税金資産が将来の課税所得から回収される可能性を評価しなければならず、回収可能性が見込めない 場合は繰延税金資産を減少させることとなります。経済状況や経営成績が悪化した場合、繰延税金資産の全てまた はその一部に関して回収可能性が見込めないと判断し、繰延税金資産を減少させることによりNIDECの利益が減少す る可能性があります。

3.ガバナンスリスク

(1)NIDEC代表取締役会長である永守重信(氏)への依存に係るリスク

NIDECの継続的な成功は主にNIDECの創業者であり代表取締役会長(最高経営責任者)の永守重信氏の能力と手腕 に依存してきました。一方で、創業者依存体制の変革を目指し、現下の厳しい経営環境において経営体制のより一 層の強化・充実を図るため、2020年4月に成長分野の車載事業に精通している関潤氏が永守氏の有力な後継者候補 として社長執行役員(2020年6月17日付で代表取締役社長執行役員に就任)に就任すると同時に、永守氏と関氏が 経営を主導する体制に移行し、後継者の育成に注力しております。しかしながら、永守氏の突然の離脱があった場 合、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2)内部統制に係るリスク

NIDECは上場企業として、金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制に関する要件を満たさなければなりま せん。そして、事業運営及び資産管理に必要で効果的な内部統制システム、コンプライアンス機能、会計システム の整備は極めて重要であると認識しております。 また、内部統制システムの設計、実施には多くの管理、人材、その他資源が必要になります。内部統制上の重大 な欠陥、弱点が認められた場合、改善に要する新たな資源投入により追加的コストが発生する可能性があります。 NIDECはグローバルな内部統制システムの強化を図るべく不断の検討・見直しを続けておりますが、財務報告に関 わる内部統制に欠陥がある場合、または内部統制の逸脱により、NIDECは適時開示義務を充足できなかったり、投資 家及び経営者等の利害関係者の正確な意思決定を妨げる可能性があり、その結果、市場におけるNIDECの評価が毀損 する恐れがあります。また、欠陥の重大性や原因等の程度に応じて様々な法的責任が課せられ、金融市場における 資金調達力が制限される可能性があります。

4.偶発的リスク

(1)自然災害・人的災害に係るリスク

NIDECやサプライヤーが事業を展開する国内外において、自然災害、火災、公衆衛生、戦争、テロ行為やその他の 人的災害が発生した場合、政治的、経済的不安定を招き、NIDECやサプライヤー、顧客に損害を与える可能性があり ます。仮にインフラに甚大な損害を及ぼしたり電力不足をもたらすような大規模な自然災害、あるいは感染病の流 行が発生すれば、従業員が勤務できなくなったり、顧客からの受注が低下したり、サプライヤーの生産活動が阻害 されることでNIDECの事業に悪影響が及ぶ可能性があります。また、例えばタイや中国といったNIDECの主要な顧客 や生産、開発拠点が集中している地域や、NIDECの本社や重要な研究開発施設が集中している日本でこのような大規 模な災害が発生すれば、際立って大きな悪影響が及ぶ恐れがあります。更に、NIDECの事業に必要不可欠なネットワ ーク及び情報システムは、停電、自然災害、テロ行為、ハードウエアやソフトウエアの不具合、コンピュータウィ ルスによる攻撃、不正侵入により被害を受ける可能性があります。これらの事態の全てを回避することは困難で す。これらの事態が発生した場合には、NIDECの生産活動及び販売活動に大きな支障をきたし、製品の納入が遅れ、 サプライヤーから材料や部品を入手することが困難となり、製造工場の修復に多大な費用が必要となります。 更に、NIDECは様々な種類の資産、死傷及び他のリスクについての第三者保険を付しております。これらの保険の 種類及び保険額はその有用性、コスト、自家保険による補償範囲を勘案し決定します。NIDECの保険契約は、控除条 件、適用範囲及び除外項目の対象となる場合があり、その結果、自家保険と同等の補填金額に留まる可能性もあり ます。NIDECが加入する保険の適用範囲と補償金額はほぼ業界水準と考えておりますが、保険対象外の損失が増加す ればNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。 2019年度後半に顕在化した新型コロナウイルスの世界的蔓延は、NIDECの事業、サプライチェーン機能に影響を与 えています。事業継続の為の対策として、NIDECは危機管理対策本部の設立、新型コロナウイルス情報共有サイトの 立上げを通じて全事業所を結ぶ情報共有体制を構築するとともに、感染リスクが高い国や地域への渡航及びそれら の国や地域からの入国を原則禁止する措置をとっております。これと並行して、国内外の事業所は手洗い励行・マ スク着用など感染防止対策の徹底や在宅勤務制度の拡大適用を通じて、従業員の安全を確保し、事業継続に対する 影響の最小化を図っております。ただし、コロナウイルスが及ぼすマイナス影響の解消にはしばらく時間がかかる とみられます。仮に感染症による市場・経済への影響が想定以上に長期化した場合、NIDECの事業、経営成績、財政 状態へ引き続き悪影響が及ぶ可能性があります。

(2)気候変動に係るリスク

2015年12月にCOP21がパリ協定を採択して以降、気候変動問題はあらゆる国・地域、企業が取り組むべき地球規模 の優先事項と位置付けられるようになりました。製品の開発・生産活動を主軸に世界各地で事業を展開するNIDECに とって、気候変動はビジネス創出の機会であると同時に、広範にわたる中長期的事業リスクの源泉でもあります。 気候変動に関わる政策および規制、技術開発、市場動向、市場評価等の変化に起因する間接的損失リスクを「移行 リスク」と定義し、気候変動がもたらす災害等による直接的損失リスクを「物理的リスク」と定義した場合、以下 に挙げるリスク事象の現実化はNIDECの財務状況に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

「移行リスク」
・炭素税その他脱炭素社会実現へ向けた各国のエネルギー転換施策への対応が遅れることによる税負担の上昇
・既存製品・サービスに適用される規制の厳格化や新基準への不適合に伴う市場機会の損失およびコンプライア ンスコストの増加
・世界的「電化」傾向に起因する電子部品原材料(希少鉱物、鋼材、その他ハイエンドアルミや銅等の非鉄金 属)の入手困難あるいは調達コストの上昇
・新たな低炭素製品が要求する代替原材料の研究・開発の遅れおよび付帯コストの増加
・非効果的な気候変動対策に起因する企業価値の低下とそれに伴う投資誘引力の減退および信用格付けの低下 これら「移行リスク」へ対処するため、NIDECは以下の施策を実施しています。

◇NIDECの事業運営過程で排出されるCO2の総量を2030年度までに30%(基準年:2017年度実績)削減することを 目標とするSMART2030(Sustainable Manufacturing andResilient Tomorrow)プロジェクトを2019年4月に開始
◇SDGsコンセプトに基づく研究・開発活動の推進
◇複数購買ルートの確保

「物理的リスク」
・台風・多雨等がもたらす広域水害の頻発による事業活動の停止
‐浸水その他電力・ガス供給網の機能停止
‐家屋倒壊や道路寸断等による従業員生活へのダメージ
‐運輸サービス機能の停止による製品輸送の停滞
・渇水による事業活動への制約
‐行政当局による取水制限の強化に起因する工場用水の不足
‐水価格の上昇による生産性の低下(洗浄・冷却・従業員寮の生活水、等)
・気温上昇による健康被害
‐熱中症件数の増加
‐感染症の伝達速度上昇
・上記事由によるサプライチェーンの混乱
これら「物理的リスク」へ対処するため、NIDECは以下の施策を実施しています。

◇グローバル・ロケーション戦略を通じた生産リスクの分散
◇気候変動リスクが高い国・地域で操業する事業所を対象とする認識度調査の実施
◇生産ラインのイノベーション
◇サプライチェーンの可視化ならびに柔軟性の強化
◇国内外事業所におけるBCPトレーニングの継続

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