気候変動対策

TCFD提言に関する取り組み

NIDECグループは2022年4月にTCFD提言への賛同を表明しました。シナリオ分析を通じて気候関連リスク・機会が及ぼし得る財務上の影響を把握し、それらを経営戦略に組み込むことで、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを一層充実させていきます。

TCFDのロゴ

ガバナンス

 サステナビリティに関する業務執行組織であるESGマテリアリティSteering Committee、並びに同執行組織の活動を監督し取締役会への報告を行うサステナビリティ委員会が気候変動対策のガバナンス機能を担っています。社外取締役3名、社内取締役2名で構成されるサステナビリティ委員会は四半期に一度開催されます。

サステナビリティ委員会議題

サステナビリティ推進体制

戦略

 当社戦略上の要の一つである車載ビジネスは、世界的気候変動対策の進展に伴う豊富な成長機会を享受すると同時に周到なリスクへの備えを要する領域でもあります。当社は車載事業を気候変動による実質的影響が最も発現しやすい事業と定義し、このたび気候変動インパクトに関するシナリオ分析を試みました。企画、開発から生産、品質管理、購買、営業、財務に至る各プロセスに従事する従業員がワークショップに参加し、以下手順に沿ってシナリオ分析を実施しました。
 シナリオ分析結果および対応策は車載事業本部長・副本部長・担当役員並びにサステナビリティ委員会へ報告されました。今後は他事業部門でシナリオ分析を実施するとともに、特定した気候変動リスク・機会の定量分析を進めていきます。

ワークショップの様子 ワークショップの様子
ワークショップの様子
シナリオ分析ステップ

事業インパクトの大きい気候変動リスク・機会および対応策

当社の対応

生産工場の地理的分散

 当社は世界40カ国以上に300社を超えるグループネットワークを有しており、拠点を地理的に分散させることで地政学的リスクや気候変動による物理的リスクの低減を図っています。車載事業においては、EV市場拡大を見据えて、中国や欧州など世界各地でのEV用トラクションモータシステム(E-Axle)の量産体制構築を加速させています。

グループネットワーク(グローバル全拠点数)

軽薄短小技術による小型軽量化、省資源化

 当社はモータの小型軽量化、省資源化を通じて社会・環境側面に配慮した製品作りを行っています。EV用トラクションモータシステム(E-Axle)の第1世代(Gen.1)では、精密小型モータ事業で培ってきた軽薄短小技術と油冷構造の採用によりモータの圧倒的な小型化を実現しました。2022年9月に量産を開始したE-Axleの第2世代(Gen.2)は高占積巻線技術による磁気回路の小型化、インバータの小型化により、Gen.1比で重量を19%軽減し、鉱物の使用量も大幅に削減しました。また、新開発の2Wayオイル循環方式による冷却能力の向上により、Dy(ジスプロシウム)、Tb(テルビウム)等の重希土類を大幅に削減した磁石の採用を可能としています。今後は重希土類や磁石を使用しないモータの開発を計画しています。

リスク管理

 下図に示した階層毎にリスク調査を行い、調査結果を相互利用していく仕組みを構築しています。

 事業中断を招きかねない重大偶発リスクについては、事業本部レベル(L2)が傘下の主要事業所レベル(L1)のBCP(Business Continuity Plan、事業継続計画)の整備状況を定期的に確認し、リスク低減に向けた継続的な改善活動の定着を図っています。
 また、世界の各拠点に設置したリスク管理者を中心に、事業継続を妨げる要因の早期の察知と的確な対応に努めています。地震、洪水、干ばつなどのリスク発生を想定し、BCPのシミュレーション訓練を国内外の拠点で実施しています。
 2022年度には車載事業部門においてシナリオ分析を実施し、事業インパクトの大きい気候変動リスク(移行リスク・物理的リスク)を特定しました。今後は特定した気候変動リスクを全社的なリスク管理項目に組み込むことを検討していきます。

※ 主要事業所:所属する事業本部・グループ会社の売上の80%をカバーするように選定された事業所

指標と目標

「持続可能な地球環境への貢献」をマテリアリティの一つとして特定し、以下のようなKPIを定めています。

 また、中期戦略目標Vision2025およびESGマテリアリティ対策の大きな軸の一つとして、2040年度カーボンニュートラルの実現を目標に掲げています。目標達成に向けた取り組みとして、自社事業のエネルギー効率の向上や再生可能エネルギーの積極導入により、まずは現在当社が事業を通じて直接排出しているCO₂(Scope1)と事業活動で購入・使用した熱・エネルギーの生産段階で排出しているCO₂(Scope2)の大幅な減少を図ります。再エネ主導のCO₂排出抑制基盤を確かなものとした後、省エネ・低炭素燃料へのシフトやカーボンオフセット投資などの手段を用いることで、2040年度までに当社事業活動のカーボンニュートラル化を達成する計画です。なお、サプライチェーンにおいて排出されるCO₂(Scope3)については2025年度までにその削減計画を確定する方針です。

再生可能エネルギー 導入比率※1
再エネ電力導入に伴うCO₂排出量の変化
温室効果ガス排出量※1

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