2022年度特集 - 統合報告書2022

マネジメントメッセージ

会長メッセージ

100年を超えて成長し続けるグローバル企業を目指して

代表取締役会長の写真

日本電産の課題

 小さなプレハブ小屋から始まったこの会社は、2021年度に連結売上高1兆9,182億円、営業利益1,704億円まで成長しました。共に働く仲間もグループ全体で114,371名にまで増えました。これほどの成長を遂げることができたのは、ひとえにグループ全従業員の情熱・熱意・執念があってのことだと考えています。来る2023年、当社は創立50周年を迎えます。新中期戦略目標「Vision2025」に掲げている通り、既存事業の成長分野に軸足を置いた自律成長と新規M&Aによる売上増加によって、2030年度売上高10兆円突破を目指します。

 更なる成長を貪欲に志す一方、当社の事業を取り巻く環境は一層厳しさを増すものと認識しています。長期化する新型コロナウイルス感染拡大の影響、原材料価格の高騰、エネルギー危機の深刻化など、経営判断を左右する様々な問題が生じています。こうした問題を乗り越えるためには、国際情勢を冷静に分析する力も必要ですが、当社の原点に立ち返り「他社・他人ができないと思っていることこそ挑戦してやり抜く」という気概を全従業員が持つことが何よりも大切だと考えています。
 そして今、当社が内側に抱えている課題が浮き彫りになっています。特に、今後の日本電産を皆と一緒に牽引していくようなトップにふさわしい人材を見つけ出すことが、重要な課題であると受け止めています。

企業文化の徹底

 後継者選定のために、ここ数年であらゆる人材を積極的に招き入れました。当社に来ていただいた方はいずれも素晴らしい才覚を持っていました。しかしなぜ、私の後を継いで当社を牽引する人材を見出せなかったかというと、「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」「情熱・熱意・執念」「知的ハードワーキング」という当社独自の企業文化を真に吸収してくださる方がいなかったからです。創業以来およそ50年間、この企業文化のお陰で当社は成長を遂げてきました。いわば当社に根付いた遺伝子と言っても過言ではありません。日本電産の将来を任せられるのは何を差し置いてもまずこれらの企業文化を体現する人であるということを見過ごしていました。
 目下、何よりも当社に必要なのは、企業文化をグループ全従業員に徹底させることです。今一度、経営幹部から現場の社員に至るまで我々の根幹となる精神を浸透させ、どのような事業に対してもNo.1への拘りとスピードをもって取り組む環境を一層強固なものにします。

目指す姿の実現

 2022年9月2日の取締役会承認をもって、社長には小部氏が就任しました。彼は私がもっとも信頼を寄せる創業当時からの仲間です。しかし、私と小部氏の経営体制を長く続けるつもりはありません。現時点では、2023年の4月に5名の副社長が選定され、それから1年後には正式な合議を経た上でこの内の1名が社長に選任される予定です。社長となった人材は約4年をかけて日本電産の経営手法を徹底的に学んだ後、新たな会長となる予定です。
 経営体制の変革だけではありません。当社が目指す「100年を超えて成長し続けるグローバル企業」の実現のためには、開発・調達・製造・管理等、様々な分野での変革を躊躇なく実施していかなくてはなりません。今はESGマテリアリティに係る各種対応の実施やサステナビリティ委員会の創設など、これまでの日本電産から一皮むけるような変革が着実に進行しています。当社の競争優位性となる企業文化は固持しつつも、目指す姿を実現するための変革は今後も果断に進めてまいります。

2022年11月

代表取締役会長(CEO)

代表取締役会長の署名

社長メッセージ

One Nidecとして力を集結し、真のグローバル企業へと飛躍

代表取締役社長執行役員の写真

COO就任にあたって

 私は2022年9月2日をもって代表取締役社長に就任しました。創業50周年が目前に迫っているタイミングでの拝命ということもあり、身が引き締まる思いです。
 私たちのライフスタイルの変化は飛躍的に早くなっています。深刻化する環境問題、労働人口の減少といったマクロレベルの変化に適応する形で、環境負荷の少ない移動手段への切り替えやデジタルトランスフォーメーションが進行しています。そしてこれからは、人々のコミュニケーションの形がさらに多様化することで、仮想現実(メタバース)の発展に代表されるような全く新しい分野でのビジネスチャンスが生まれてくると考えています。そこで重要なのは、人材と組織の変革です。人材面では「プロアクティブ(前向き)・プロフェッショナル(専門的)・プロダクティブ(生産的)」な働き方を通じて変革を進めます。組織面では、そうした人材を支援する体制を整えることが責務だと考えています。

2022年度の事業戦略

 当社の電気自動車用駆動モータシステム「E-Axle」が飛躍を遂げています。2022年度第1四半期時点で既に2025年度までの「E-Axle」受注台数は400万台を突破し、今後もEVの価格低下を要因に受注・販売台数は伸びていくと想定しています。そしてこの9月には、従来の第1世代と比較して20%のサイズダウンと30%のコストダウンを実現した第2世代の量産を開始しました。第3世代、第4世代の開発も同時に進んでいます。今後も高まると予想される需要に備えて、グローバルな生産能力拡大にも努めています。
 一方、M&Aの観点では、日本電産マシンツールやニデックオーケーケーの買収による工作機械事業の開拓が大きな動きとして挙げられます。当初、これらの会社を買収したのは「E-Axle」の重要部品の内製化を意図してのことでしたが、今は工作機械事業自体の開拓を通じて製品ラインアップを拡充し、収益を拡大する戦略へとシフトしています。
 当社を取り巻く事業環境は、グローバル経済自体に減速の兆しもあることに加え、精密小型モータ部門ではPCやHDD等の需要減少、車載部門ではグローバル生産台数の回復の遅れ、家電・商業・産業部門では家電需要のピークアウト等、厳しい状況が続いています。しかし、外部環境を決して言い訳にせず、必要なアクションをたゆまず実施していきます。

サステナビリティ経営

 2022年度、取締役会の内部に属する形でサステナビリティ委員会を創設しました。5名の委員は全員取締役で構成されており、私もその内の一人として名を連ねています。「100年を超えて成長し続けるグローバル企業」という理想の姿から逆算する形で当社の現状を捉え、必要な取り組みが着実になされるよう、委員として責任を果たします。
 また、これまで実施してきた取り組みも継続していきます。例えば、環境面では「2040年度カーボンニュートラル達成」を実現するために各事業所における積極的な再エネ導入を進めており、社会面では企業文化を軸に据えた人材育成および人事制度改革を進めています。

「ニデック株式会社」へ

 創業50周年を迎える2023年4月1日、当社は「ニデック株式会社」へと名前を変えます。新たな集団指導経営体制を構築して10兆円企業となり、その先100年を超えて成長し続けるためにも、社名変更を機に世界43か国で働くグループの全従業員が国や地域の垣根を超えて活発なコミュニケーションを取るべきだと考えています。
 私は昨年度およそ300名を超える社員と面談を行い、企業文化や創業者精神の徹底について語ってきました。今後もこうした活動を継続し、真のグローバル企業へと飛躍するための布石を打っていきます。

2022年11月

代表取締役社長執行役員(COO)

代表取締役社長執行役員の署名

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