未来への取り組み

E-Axle 第二世代
EVの心臓部、さらなる進化。

小型軽量ハイパワーなトラクションモータ

2019年に世界で初めて量産に成功したNIDECのトラクションモータシステム「E-Axle」。小型車から大型SUVまで、あらゆるセグメントのEVに対応できるよう、50kW~240kWまでの幅広いラインナップを取り揃え、EV先進国である中国の自動車メーカーを中心に、続々と採用が進んでいます。同製品の特長は、同クラスのガソリンエンジンよりも圧倒的な小型・軽量さを実現しつつ、高いトルク・出力密度を兼ね備えていることです。今回、バージョンアップを図った第2世代では、トルク・出力密度を20%向上する一方、重量は19%の減少を果たしており、第1世代の特長をさらに進化させています。

「E-Axle Ni100Ex(Gen2)」

ステータコアの巻線高密度化

モータの効率を向上させるためには、回転力の源となるステータの巻線を高密度にする必要があります。そこで、第1世代では巻線部分をカセット化して挿入する高占積率巻線工法(カセットインサータ)という新工法を開発し、高い生産性と高占積率の両立を実現しました。さらに第2世代では巻線が収まるステータコアのスロット形状見直しやスロットへのコイル挿入負荷の軽減を行った上で、当社独自の巻線機を採用することにより、スロット断面積あたりのコイル占有率を10%向上させています。

巻線技術の向上で、コイル占積率を10%向上

重希土類使用量の大幅削減

モータ効率を考える上で、発熱への対策は欠かせません。稼働時間や寿命に関わるため、高出力なモータほど、冷却装置が重要になってきます。特にステータと作用することで電磁力を発生させるロータの永久磁石は、一定の温度を超えると磁力が弱まる特性があります。その対処として、第1世代では、モータの内部と外部にオイルによるの冷却経路を作り、発熱部に直接オイルをかけて冷却すること、更に永久磁石には熱耐性を向上させる重希土類の含有量を増やす方法を取っていましたが、後者の方法はコスト増につながるというデメリットもありました。そこで第2世代では冷却方法の改善を図りました。モータ内部の冷却経路を見直し、オイルクーラで冷却したオイルをノズルで噴射してステータを外部から冷却。さらにロータの遠心力でもオイルを噴出させ、マグネットを含むロータ全体、ステータコイルにもオイルをかけることで、冷却性能を向上させています。その結果、重希土類フリーの磁石をロータに採用しても、定格出力下で安定したモータ駆動が可能になりました。

ロータの遠心力でオイルを噴出させて冷却性能を向上

さらなる静音性を実現

エンジン車に比べてEVは走行音が静かであるがゆえに、モータの騒音が特に目立ちやすくなっています。高水準な静音性を実現していた第1世代ですが、さらなる静音性を求めて実験と解析を続け、第2世代では部品配置の最適化や新設計のギヤ採用等により第1世代とくらべて9dBのノイズ低減に成功しています。

シミュレーションと実験によりノイズを低減

今後もEVの進化に寄与

2023年以降、E-Axleのラインナップを第2世代に置き換えていく予定です。今後もNIDECはEVの性能や利便性の進化に寄与する製品を製造していきます。

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E-Axle 生産の強み

開発から生産まで一貫した体勢を構築

トラクションモータ「E-Axle」
(EV駆動モータシステム)

EV普及のカギを握るE-Axle。世界で初めて量産開始。

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