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シンクロナスリラクタンスモータのダイレクトオンライン技術

省電力かつシーンを選ばず活用できる次世代モータの実用化へ

世界の電力需要の50%以上はモータが消費しているといわれています。それほどモータはさまざまなシステム、機械で使われており、モータの省電力化は、地球環境に対する負荷低減という意味でも重要な課題です。

産業用の汎用モータとして19世紀以来長い歴史を有しているのが「かご型誘導機」(非同期モータ)です。商用電源に接続すれば起動することができ、インバータが不要なためシステム全体でのコストを抑えることが可能で、ファンやポンプ、コンプレッサ、クレーン、エレベータなど多くの機器で活用されてきました。しかし、構造上、ロータとステータの間に”すべり”と呼ばれる回転差が生じることから、損失が発生し、モータの効率は後述の同期モータに比べて低いという欠点がありました。

かご型のロータ構造を持つことからかご型誘導機と呼ばれる

かご型誘導機と同様に、広い場面で活用できるのが同期モータの一種である「シンクロナスリラクタンスモータ」です。始動時には誘導モータとして回転し、運転時には電源周波数に同期して回転するもので、かご型誘導機に比べて損失が少なく、効率が高いというメリットがありますが、起動にインバータを必要とするため、システム全体のコストが高くなることが、導入のハードルとなっていました。

リラクタンスモータ用ステータ(分布巻)、リラクタンスモータ用ロータ(凸極かご型ロータ。導体に銅、黄銅、アルミニウムを使用)
ステータの磁界にロータが同期して回転する同期モータに分類される

近年、省エネへの要求はますます高まっており、より効率の高いモータが求められるようになっています。従来、かご型誘導機を使っていた場面でも、シンクロナスリラクタンスモータのような効率の高いモータへ置き換える需要が高まってきました。そこで、日本電産では、シンクロナスリラクタンスモータをインバータ不要で商用電源につなげば起動できる「ダイレクトオンライン」技術の実用化を進めています。これは、日本電産の欧米の家電産業事業本部配下のグループ会社と台湾モーター基礎技術研究所とが共同で進めてきた研究開発プロジェクトです。

技術的には誘導機の“かご”をロータに組み込むもので、かご型誘導機のように商用電源で起動でき、シンクロナスリラクタンスモータの効率の高さを併せ持つことが可能となります。インバータが不要となるため、導入コストを抑え、かご型誘導機が用いられていたシーンへの置き換えが期待されます。

すべてのかご型誘導機を、このモータに置き換えられるわけではありませんが、ファンやポンプ、一部のコンプレッサーなどでの使用が可能です。例えば7.5kWのモータの場合、年間7000時間の稼働で、1500kWhの省エネ効果が期待できます。また、永久磁石を使ったモータと違って希土類を使わないため、資源保護や供給不安への対応という意味でも期待を集めています。

安価なフェライト磁石を使って出力/トルクを高める磁石補助型という技術との相性も良く、必要に応じて出力やトルクを高められる

日本電産グループでは、モータの省エネ化によって電力の消費を抑え、地球環境への負荷低減に貢献することを目指し、日々革新的な技術の開発・導入に取り組んでいます。

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