ソリューション事例

超偏平アクチュエータ
「FLEXWAVE」×「Axial Flux Motor」

NEEDS
介護現場に適したパワーアシストスーツを供給したい
SOLUTION
偏平でパワー密度の高いアクチュエータを開発

形状的なメリットを活かし、減速機込みの軽薄短小なアクチュエータを開発

日本の高齢者人口は増え続けており、2025年には総人口の3割に達するとされています。すでに介護施設は深刻な人材不足に陥っており、介護従事者の負担軽減は社会的な課題となっています。こうした状況を受けて、身体機能を補助するパワーアシストスーツの需要が高まっています。市場規模は120億円に迫っており、今後5年で5倍以上の伸びを見せるという試算もあります。
パワーアシストスーツに欠かせない構成部品が、関節駆動用のアクチュエータです。制御を担う減速機と駆動力を生み出すモータで構成され、装着した人の動きに合わせて大きな力を発揮して、腰や足の負担を軽減します。

現在の相場は60~300万円。アクチュエータ装着位置はモデルごとに異なり、多くは腰や膝の二軸程度。四軸以上備えているのは高級モデル

“変形する歯車”構造とすることでシームレスな制御と薄型を実現

駆動パーツの原理原則は、大きな力を求めればアクチュエータは大きく、厚くなります。しかし、介護の現場は狭い通路やドアを通り抜ける必要があり、利用者を傷つけることのないよう十全の注意が求められます。したがって、パワーアシストスーツ用のアクチュエータは薄く、コンパクトであることが求められます。

日本電産シンポが2015年から供給している減速機「FLEXWAVE」は、こうした介護現場の要望を満たす薄型の減速機構です。腰用の中型のタイプでも、直径90mmに対して厚さは20mmにとどまっています。また、介護従事者の正確な動作を実現するために、アクチュエータは極めて精密に制御する必要があります。そこで課題となるのが、歯車と歯車の間に生じるバックラッシュ(あそび)です。FLEXWAVEは、外歯歯車と内歯歯車を組み合わせる方式ながら、内側に楕円に変形する弾性軸受を設置。さらに外歯歯車を延性の高い薄型スチール系素材とし、軸受とともに変形させることで、内歯歯車と噛み合わせる設計として、低バックラッシュを実現。ギア比の自由度も向上しており、50~120と段違いのシームレスな制御を実現しています。


新方式モータとの組み合わせで薄型・高パワー密度を実現

一方、超偏平アクチュエータ用「Axial Flat Motor(AFM)」は日本電産の台湾モーター基礎技術研究所が開発した、近年注目されているモータ構造です。 トルクを確保するために、一般的なRadial Flux Motor(RFM)は縦に長くなるのに対して、AFMは径を大きくしてトルクを得るという特長があります。

AFMとRFMの違い。AFMは縦に長くしなくとも径を大きくすることでトルクを稼げる

このため、出力170Wと高出力でありながら、薄さは約21mmを実現します。
日本電産シンポはこのグループ内シナジーを生かし、FLEXWAVEとAFMを組み合わせたアクチュエータを企画。厚さは前述の直径90mmのもので41.5mm。極めて偏平軽量なアクチュエータが実現しました。出力と大きさの異なる3バリエーションを展開しており、使用部位や作業の性質に合わせて幅広いパワーアシストスーツ用途に応えています。

日本電産シンポのアクチュエータは、パワー密度(一定の質量に対するパワー)で他社製品を大きく上回る

現在、パワーアシストスーツに加えて、電動車いすを含めたパーソナルモビリティ分野への応用も検討しています。また、スカラロボットをはじめとする生産設備や、自律移動型の多関節ロボットといった領域へも展開が可能です。街中や家庭でロボットとともに生活する社会は、決して遠い未来ではありません。小型高出力のアクチュエータのニーズは、今後急速に高まっていくでしょう。それに応えるべく、日本電産グループは一層研究開発を加速化させていきます。

Nidec Group Search