ソリューション事例

F5Bについて

世界最高峰のモーターグライダー競技で
小型・高出力・高効率モータの限界に挑戦。

地球温暖化、化石燃料の枯渇―。自動車を取り巻く状況は大きく変化しつつあり、電動化への流れはさらに加速していくと考えられ、モータとその周辺技術の重要性はますます高まっています。負荷変動が大きく、スペースが限られた自動車用モータには、小型・高出力、高効率、広範囲の可変変速運転、低騒音、広い使用温度範囲などが求められます。

両翼端2m、全長1.5m、全重量1.6kgのグライダーを垂直上昇速度200km/hまで加速する高出力モータ開発に挑戦、見事成功。

車載用モータ、とくにトラクションモータは日本電産にとって重要なターゲット領域です。そのトラクションモータと周辺技術を効率良く習得・蓄積するための対象として選ばれたのが、F5B電動グライダー競技です。F5Bはラジコン飛行機のF-1とも呼ばれ、機体を200km/h(垂直上昇速度)近くまで加速させる高出力・小型軽量のモータが不可欠となります。世界選手権などの大会で活躍し、世界トップの座を目指すためには高性能モータだけでなく、ECU、バッテリー、データロガーなど周辺装置も含めたシステムを開発し、運用する総合力が要求されます。

Φ39ミリメートル×L110ミリメートル、重量300gの体格で、2.4kWの出力を達成。遠心力、大電流による熱と闘いながら、世界一に。

日本電産製のF5B用モータは、最終的に入力電圧19.5V(平均)、最大電流300A、最高出力2.4kW/84,000rpmというスペックを達成しました。高回転と言われるサーバ用のファンモータでも20,000rpmであり、非常に高回転数で、開発途上ではロータのマグネットが遠心力で飛散してしまう、という事象も生じるほどでした。外形寸法はφ39mm×L110mm、重量は300g、パワーウエイトレシオ8kW/kgに及び、F-1エンジンの6kW/kgをはるかに超えるパフォーマンスを示します。低電圧・大電流で駆動を行うためモータ内部は高温・高電磁界となり半導体センサの設置は困難と考え、センサレス制御としました。スペースの関係上、小パッケージのマイコンしか使用できず、処理能力が限られているので制御アルゴリズムをいかにコンパクトにソフト実装するか、など、ハード・ソフト全般に渡り、さまざまな課題を克服する必要がありました。

排出ガスのないEV実現には、モータ技術は不可欠。日本電産でもF5Bでの経験をベースにEVについてのさまざまな研究・開発が進められている。

2005年にプロジェクトがスタート、翌2006年には第一試作完成、2007年には日本選手権に初参戦で優勝、2010年には世界選手権タイトル奪取と、F5Bモータプロジェクトは順調な歩みを記しました。世界一を実現したF5Bモータは、低電圧・大電流・小型・電池駆動という点において自動車用モータと同じ特性を持ち、並行して開発を行ったECUも高温環境下対応と省配線化が可能なセンサレス制御、優れた速度制御性で自動車用途への親和性を持っています。今後は、F5Bで培った技術と経験を生かして、ギアレス駆動、センサレス制御技術をさらに磨き上げ、大電流・高出力モータ設計のために技術基盤を構築し、自動車、航空・宇宙などの分野で極限設計技術の展開をはかっていきます。

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